高橋三吉

高橋三吉（たかはし さんきち、1882年8月24日 - 1966年6月15日）は、日本の大正・昭和に活躍した海軍の軍人です。彼は連合艦隊の第22代司令長官となり、その最終階級は海軍大将でした。彼の業績は日本海軍の歴史において重要な位置を占めています。

生い立ちと初期の軍歴

高橋は東京に生まれました。彼は岡山藩藩士の家系に生まれ、宮内省の高橋信孝の三男でした。攻玉社に在学中に海軍兵学校に合格し、1901年に第29期生として卒業しました。その成績は125人中5位で、同期には後の大将である藤田尚徳や米内光政がいます。

彼の海軍実務の初めは、駆逐艦「叢雲」での日露戦争の戦闘に関与していました。特に、黄海海戦と日本海海戦への参加は彼のキャリアにおいて重要な出来事です。その後、砲術練習所で技術を学び、数々の学校で高等教育を受け、典型的な成績上位者として成長していきました。

軍人としての活動

第一次世界大戦中、彼は欧米諸国を視察しましたが、観戦武官の地位は得られず、社会の見聞を広げることに留まりました。その後、中佐に昇進し、第一特務艦隊参謀を務めることになります。彼はドイツの潜水艦から連合軍の補給船団を守るため、シンガポールとケープタウンに展開し、実際には潜水艦戦闘の経験がほとんどありませんでした。

高橋はその後、大佐に昇進し、海軍大学校の教官、戦隊参謀、そして連合艦隊参謀長を経て、1935年には連合艦隊司令長官に任命されることとなりました。在任中、彼は艦隊の訓練に厳しい指導を行い、艦隊の運用に新たな空母「赤城」を組み込むことに貢献しました。その際、航空機の重要性に目覚め、戦術改革の必要性を強く実感しました。

指導者としての苦悩と改革

高橋の連合艦隊司令長官としての任期は1934年から1936年にかけてであり、その間に台風接近の報告を受けながらも訓練を強行し、艦艇の損傷を招く「第四艦隊事件」を引き起こしました。しかし、責任を問われることはありませんでした。また、二・二六事件の際には、海軍の混乱を回避するために独断で艦隊を動かしました。

その後、高橋は軍事参議官に退き、ロンドン軍縮条約が破棄されると、建艦競争の波が押し寄せてきました。高橋は海軍の権限強化を目指し続けましたが、一方で、対米戦争を積極的に進める気持ちはありませんでした。彼は対米交渉における穏健派の立場を取り、次第に軍の動向に懸念を抱くように。最終的に、彼は軍を去ることを決断します。

晩年と評価

高橋三吉は、特異な個性とリーダーシップで知られ、温厚な性格からも部下から愛されました。彼の人柄と業績は、海軍の歴史において高く評価されています。戦後は、趣味として絵画や書に没頭しながら、穏やかな生活を送ることになりますが、彼の存在は今日でも日本の海軍史において忘れられないものとなっています。1945年にはGHQによって逮捕されるも、釈放されました。その後彼は公職を追放され、芸術活動に専念することになります。その人生の最後に彼は、戦争の歴史の中で貴重な経験と教訓を持つ存在であったということで関係者の間で語り継がれています。

もう一度検索