高橋政知

高橋政知：東京ディズニーランドを創った実業家

高橋政知（たかはし まさとも）は、1913年9月4日に福島県福島市で生まれ、2000年1月31日に86歳で亡くなった日本の実業家です。彼は、東京ディズニーランドの誘致と建設に尽力し、オリエンタルランドの社長としてその礎を築きました。

生い立ちと学生時代

高橋は、内務官僚で貴族院議員も務めた太田政弘の次男として生まれました。父は原敬に厚遇され、警視総監や福島県知事、台湾総督などを歴任した人物です。政知の名前は、父の「政」と知事の「知」から一字ずつ取って名付けられました。学生時代から酒豪で、喧嘩も強かった父の影響を受け、負けん気の強さを養いました。第一東京市立中学、山形高等学校を経て、東京帝国大学法学部に進学しました。大学卒業後は、理研重工業に入社し、その後、富士製紙の専務の娘、弘子と結婚し、高橋家の婿養子となりました。

オリエンタルランド入社

戦後、日本石油の特約店での勤務を経て、三井不動産の江戸英雄の紹介で、オリエンタルランドに入社します。当時のオリエンタルランドは、千葉県浦安沖の埋め立て地開発を目的とした会社で、高橋は漁業権補償交渉の担当者として迎えられました。入社時の役職は専務でした。この頃、上澤昇や加賀見俊夫といった、後に東京ディズニーランド、東京ディズニーリゾートの実現に尽力する人々との出会いもありました。当時のオリエンタルランドは、社員わずか三名、実働部隊は高橋一人という状況でした。しかし、高橋は、漁民との粘り強い交渉を重ね、漁業補償問題を解決に導きました。

東京ディズニーランド建設

漁業権補償問題を解決後、高橋は東京ディズニーランドの建設に向けて動き出します。千葉県への遊園地用地払い下げ交渉、資金調達、ディズニー社との交渉など、多くの課題に直面しました。特に、ディズニー社との交渉は難航し、一時決裂寸前までいきましたが、高橋の粘り強い交渉と熱意により、基本契約締結に至ります。高橋は、当初ディズニーランドへの思い入れは薄かったものの、事業を進める中で、浦安の土地への愛着と、「国民の幸福に寄与するものを作りたい」という思いが強くなっていきました。

1979年4月30日、ディズニー社との基本契約が締結され、1980年12月には建設工事が着工しました。総事業費は当初の1000億円から1800億円に膨れ上がりましたが、高橋は「本物」を造ることにこだわり、妥協を許しませんでした。1983年4月15日、東京ディズニーランドはグランドオープンを迎えました。開業初年度には1000万人を超える入園者数を記録し、多くの人々を魅了しました。

東京ディズニーリゾートへの発展

東京ディズニーランドの成功後も、高橋は現状に満足せず、「永遠に完成しない場所」というウォルト・ディズニーのコンセプトを元に、様々な改善を続けました。1988年には、妻の看病のため会長職に退き、森光明に後を譲りましたが、その後もオリエンタルランドを支え続けました。高橋は、東京ディズニーリゾート構想を打ち出し、東京ディズニーシーの建設を推進しました。しかし、1992年に後任の森が急逝したため、高橋が社長職を兼務することになります。

1995年には相談役に退き、加藤康三が会長、加賀見俊夫が社長に就任しました。高橋の体調は徐々に悪化していきましたが、東京ディズニーシーの完成を待ち望んでいました。2000年1月31日、高橋は心不全のため静かに息を引き取りました。享年86歳でした。

高橋政知の遺産

2001年9月4日、高橋の誕生日には、東京ディズニーシーと東京ディズニーシー・ホテルミラコスタが開業し、彼の夢が実現しました。東京ディズニーランドにあるワールドバザールには、高橋の功績を称える「Office OF LEGENDARY CREATIONS」という銘板が設置されており、彼の偉業を後世に伝えています。高橋政知は、東京ディズニーランドを創り上げただけでなく、東京ディズニーリゾートの基礎を築いた偉大な実業家として、その名は永遠に語り継がれるでしょう。

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