高津町 (神奈川県)

高津町の歴史

高津町（たかつまち）は、1928年（昭和3年）4月17日から1937年（昭和12年）4月1日まで存在した、神奈川県橘樹郡の町です。現在の川崎市高津区北部に相当します。本稿では、高津町の前身である高津村についても言及し、その歴史的背景を詳細に解説します。

地理

高津町は、多摩川の流域に位置し、豊かな自然に恵まれた地域でした。現在の川崎市高津区北部に相当し、多摩川が町の主要な水源となっていました。

歴史

高津町の歴史は、鎌倉時代に坂戸郷という地名が見られることに始まります。室町時代には、溝ノ口郷や木田見方郷といった地名が現れ、戦国時代には久本の地名も確認されています。江戸時代に入ると、以下の8つの村が成立しました。

溝口村（みぞのくちむら）：旗本斎藤氏の知行地を経て幕府領となりました。
二子村（ふたこむら）：幕府領でした。
久地村（くじむら）：幕府領でした。
下作延村（しもさくのべむら）：旗本村上氏と戸田氏の相給地を経て幕府領、後に旗本戸田氏の知行地となりました。
久本村（ひさもとむら）：旗本長坂氏と川勝氏の相給地を経て幕府領、後に旗本長坂氏と川崎氏の相給地となりました。
諏訪河原村（すわがわらむら）：幕府領でした。
北見方村（きたみかたむら）：旗本斎藤氏の知行地を経て幕府領となりました。
坂戸村（さかどむら）：幕府領を経て江戸増上寺領となりました。


1868年（明治元年）には、旧暦6月17日に神奈川府の管轄となり、同年9月21日には神奈川県と改称されました。

1874年（明治7年）の大区小区制の施行により、以下の様に区分されました。

第5大区第1小区：溝口村、二子村、久本村、久地村、下作延村
第5大区第2小区：小杉村、上丸子村、宮内村、諏訪河原村、北見方村
第5大区第3小区：上小田中村、下小田中村、坂戸村、新城村

1889年（明治22年）4月1日、町村制の施行に伴い、溝口村、二子村、久地村、下作延村、久本村、諏訪河原村、北見方村、坂戸村が合併し、高津村が成立しました。この際、溝口村の飛地は宮前村に、下作延村の飛地は向丘村の一部となりました。

1912年（明治45年）には、多摩川を挟んで両岸に蛇行していた東京府荏原郡、北多摩郡との境界が多摩川上に設定され、北多摩郡砧村大字宇奈根、荏原郡玉川村大字瀬田、下野毛の各一部を編入しました。また、大字久地の一部を砧村、玉川村に、大字北見方の一部を玉川村に移管しました。

1927年（昭和2年）には、大字諏訪川原を大字諏訪に改称しました。

1928年（昭和3年）4月17日、高津村は町制を施行し、高津町となりました。

しかし、1937年（昭和12年）4月1日には川崎市に編入され、高津町は廃止されました。その後、1972年（昭和47年）4月1日には川崎市が政令指定都市に指定され、旧高津町域は高津区となりました。

交通

高津町には、以下の鉄道路線が通っていました。

南武鉄道（現JR東日本）：武蔵溝ノ口駅 - 日本ヒューム管前停留場（現津田山駅） - 久地梅林停留場（現久地駅）
玉川電気鉄道（現東京急行電鉄）：二子電停（現二子新地駅） - 高津駅 - 溝の口駅


主要な道路としては、以下のものがありました。

府中街道（現国道409号）
厚木大山街道（現国道246号）

現在の町名

旧諏訪河原村が大字諏訪に改称された以外は、すべて旧村名が現存しています。これらの地名は、現在も川崎市高津区の町名として使われ、その歴史を今に伝えています。

関連項目

神奈川県の廃止市町村一覧

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