高等中学校令

高等中学校令について

高等中学校令（こうとうちゅうがっこうれい）は、近代日本における中等教育制度の一環として、中学校を修了した生徒が進学する高等中学校の設置と運営を規定した法令です。この令は、1911年7月31日に公布され、内閣総理大臣桂太郎と文部大臣小松原英太郎の下に制定されました。しかし、1918年12月6日に、未施行のまま廃止されてしまいました。

公布の背景と目的

当時の日本では中等教育が徐々に発展し、より高等な教育を求める声が高まっていました。文部大臣の小松原英太郎は、高等学校制度の改革を目指し、修業年限を短縮することが必要であると考えました。そのため、高等中学校令の制定が計画され、従来の高等学校の帝国大学予備教育の性質を排除し、中学校と連携して高等普通教育を行うという目的が立てられました。

内容の概要

「高等中学校令」には、いくつかの重要な条文が含まれています。まず第1条では、高等中学校は中学校を修了した者に高等な普通教育を提供することを目的とすることが明記されています。また、第2条では、高等中学校は国立とされ、全国で20校以内の設置、1校あたりの生徒定員は480名以内と定められています。

第3条には、高等中学校の修業年限が約2年5ヶ月から2年6ヶ月であることが示されています。さらに、第4条では学科が文科と理科に分かれるとされています。入学資格については、第5条において中学校卒業者または16歳以上の者で、同等の学力を有することが求められています。

また、第6条で入学や退学、懲戒に関する規定が文部大臣によって決定されることが示されており、第7条では高等中学校で使用する教科書について、文部大臣の検定を受けたものでなければならず、一時的に未検定の教科書を使用する際には申請が必要となっています。第8条では、本令に基づかない学校は高等中学校と名乗ることができないとしています。

廃止とその後の影響

高等中学校令は、1913年3月に一部改正が行われ、施行期日が文部大臣の判断に委ねられ、実施されることはありませんでした。最終的に1918年に廃止され、すぐに高等学校令に取って代わられる形で、従前の高等教育制度は次第に変化を遂げていきました。

高等中学校令の制定およびその廃止は、日本の教育制度の変遷における重要な出来事でした。特に、戦後の教育改革にも影響を与えたことは否めません。

関連項目

この法令に関連する歴史的背景や法令には、文部省、旧制中学校、旧制高等学校、中学校令、高等女学校令、実業学校令、そして学校教育法などが存在します。これらの法令は、日本の教育体系を形作る上で大変重要な役割を果たしました。

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