魂のピリオド

『魂のピリオド』

『魂のピリオド』（たましいのピリオド）は、日本のシンガーソングライター、太田裕美によって1998年に世に送り出された、通算19枚目のオリジナルアルバムにあたる作品です。本作は全4曲からなるミニアルバムという形態をとっており、ソニーレコードからリリースされました。規格品番はKSC2-231が付与されています。この『魂のピリオド』は、太田裕美のオリジナルアルバムとしては、この作品以降の全てが当初からCDという形式で提供されるようになった記念すべき一枚でもあります。

制作背景

本作が発表された1998年は、太田裕美にとって非常に重要な年でした。なぜなら、先行するオリジナルアルバムである『TAMATEBAKO』（1984年発表）から数えること、実に14年もの歳月が流れていたからです。この長いブランクには、太田裕美の人生における大きな転換期が関わっています。1984年11月21日に3曲入りのシングル「雨の音が聞こえる」を発表した後、彼女は1985年1月26日に音楽プロデューサーである福岡智彦氏と結婚しました。その後、妊娠、出産、そして子育てという新たな生活に入り、公の場での音楽活動を一時的に休止することを選択します。この活動休止期間は、1996年まで続きました。約11年間の休止を経て、太田裕美は1996年4月よりライブ活動という形で音楽シーンへの復帰を果たします。そして、ライブでの感触や新たな創作意欲を携え、スタジオでのレコーディングを開始。その成果として、14年ぶりのオリジナル作品となる本作『魂のピリオド』が完成し、発表されるに至ったのです。

楽曲と制作陣

『魂のピリオド』は、太田裕美の音楽キャリアにおいて、かつて栄光を築いた特定のコラボレーションが復活した点でも注目されます。本作に収録された楽曲には、作曲家・筒美京平氏と作詞家・松本隆氏という、太田裕美の初期の大ヒット曲を数多く手掛けたゴールデンコンビが再び参加しました。特に、筒美京平氏と松本隆氏のコンビによる楽曲を太田裕美が歌うのは、1978年に発表されたアルバム『海が泣いている』（シングル「振り向けばイエスタディ」が収録されたアルバム）以来、およそ20年ぶりのことでした。これは、太田裕美・筒美京平・松本隆という、日本のポピュラー音楽史に名を刻むトリオが、時を経て再び創造の場に集結したことを意味します。この強力なタッグは、本作だけでなく、次作のオリジナルアルバム『神様のいたずら』でも実現しています。

収録曲は以下の4曲です。

魂のピリオド
作詞：松本隆／作曲：筒美京平

水彩画の日々
作詞：松本隆／作曲：筒美京平
（後に太田裕美のオフィシャルブログのタイトルとしても使われました）

ハーブの香り
作詞：太田裕美／作曲：筒美京平

僕は君の涙
作詞：太田裕美／作曲：太田裕美

収録曲リストを見ると、前述の通り筒美京平氏が作曲、松本隆氏が作詞を担当した楽曲が含まれる一方で、太田裕美自身が作詞・作曲を手掛けた楽曲も収録されており、彼女のセルフプロデュース能力も発揮された作品であることが分かります。

アルバムの意義

『魂のピリオド』は、太田裕美が人生の大きな節目を経て、再び本格的な音楽活動へと歩みを進めた第一歩を示す重要な作品です。14年という長い沈黙を破り、変わらぬ透明感のある歌声と、円熟味を増した表現力で届けられたこのミニアルバムは、当時のファンにとって待望のリリースであり、新たなファンにもその健在ぶりを強く印象付けるものとなりました。筒美京平氏、松本隆氏といったかつての盟友との再会、そして自身の創作活動も盛り込まれた本作は、過去の輝きを継承しつつ、未来への新たな展開を示唆する、まさに「魂のピリオド」であり、「新たな始まり」を感じさせる一枚と言えるでしょう。

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