魏源 (明)

魏源（ぎ げん）：明代の官僚、その波乱に満ちた生涯

魏源（1382年 - 1444年）は、明代に活躍した官僚です。字は文淵といい、南康府建昌県の出身でした。彼の生涯は、地方官から中央の要職まで、様々な役割を担い、数々の功績と、それに伴う試練に満ちたものでした。

出世と地方での活躍

魏源は永楽4年（1406年）に進士に及第し、監察御史として官界に入りました。この頃から、彼は不正を正し、民を思う姿勢を示します。松江府知府が誣告された際には、その弁護に尽力し、浙東沿海の漁民への過酷な賦課を軽減するよう訴えました。その後、陝西巡按として地方行政に携わります。永楽9年（1411年）には、西安で疫病が流行した際、府庫に十分な穀物があるにも関わらず、民が飢えに苦しんでいる状況を憂い、税の一部を穀物ではなく鈔での輸送に切り替えるよう進言しました。また、涼州で現地民の反乱が起こりそうになった際には、迅速な鎮圧を主張し、事態の収束に貢献しました。

両親の死去により一時的に官を辞した後、御史として復帰し、洪熙元年（1425年）には浙江按察副使として赴任しました。

中央での活躍と失脚、そして復帰

宣徳3年（1428年）には、その能力を買われ、北京に召還され刑部右侍郎を代行しました。宣徳5年（1430年）には、旱魃で荒廃した河南の復興を任され、河南左布政使として、許廓・李昌祺と共に穀物倉を開放し、税や雑役を免除することで、多くの流民を故郷に帰還させることに成功しました。その後、雨が降り、河南は豊作となりました。宣徳8年（1433年）には刑部左侍郎に任じられ、宣徳9年（1434年）には、永豊県で起きた反乱を鎮圧するため派遣されました。しかし、到着前に反乱軍が鎮圧されたため、彼は四川での材木伐採の任務に就くことになりました。

宣徳10年（1435年）、魏源は刑部尚書に昇進しました。正統2年（1437年）には、大同・宣府の辺境の粛正を命じられ、独石を守備させるなどの防衛策を講じました。また、駐屯軍の税を免除したり、火器を蓄えたりするなど、辺境防衛に力を注ぎました。彼は、大同総兵官の交代を進言し、盧睿の召還と于謙の推薦をしましたが、朝廷は于謙の推薦を受け入れませんでした。このことが、御史や給事中の反発を招き、魏源は大臣を勝手に交代させ、不正に財産を蓄えたと弾劾されました。しかし、英宗は魏源の功績を認め、これを不問にしました。

正統3年（1438年）4月、北京に召還された魏源は、都御史の陳智と言い争いになり、両者とも譴責を受けます。さらに、7月には、刑獄に関する不当な決定を理由に刑部右侍郎の何文淵とともに投獄されました。その後、釈放されますが、遼王朱貴烚の罪状を報告しなかったとして、再び投獄されます。しかし、正統4年（1439年）閏2月には釈放され、刑部尚書の職に復帰しました。

晩年と死

魏源は刑部で長く務め、その裁判は公平かつ寛容であったと伝えられています。正統6年（1441年）には、足の病を理由に入朝を月2回に減らすことを許され、正統8年（1443年）3月には致仕しました。正統9年閏7月27日（1444年9月9日）、63歳でその生涯を閉じました。

魏源は、その生涯を通じて、民を思い、公正な政治を実践しようとした官僚でした。その行動は、時に批判を浴びながらも、多くの功績を残したことで知られています。

もう一度検索