魔法の黄色い靴 (アルバム)

『魔法の黄色い靴』

『魔法の黄色い靴』は、チューリップのデビューアルバムで、1972年6月5日に東芝音楽工業から発売されました。このアルバムは、デビューシングルと同名の作品であり、上京前の福岡時代に制作された曲と上京後に書き下ろされた新曲で構成されています。約半数ずつの楽曲が収録されているのが特徴です。

アルバムのジャケットは、演奏メンバーたちを描いたイラストによってデザインされており、付録として大判の「チューリップタイムス」が封入されていました。このアルバムのジャケットには、タイトルや各曲名が英語表記でも記載されています。アルバムタイトルは『YELLOW MAGICAL SHOES』、収録曲名についても言及されています。

本作には、チューリップのメンバーに加え、弦楽器や管楽器編曲を手がけた青木望と木田高介が参加していることも注目ポイントです。リリース当初はヒットしなかったため、次のアルバム『君のために生れかわろう』と共にマスターテープ以外のマルチテープが処分され、未発表音源の発掘は難しくなりました。しかし、上京直後の1972年3月3日に渋谷ジァン・ジァンで行われたライブの録音が後に発掘され、限定版の『TULIP 1972 東京初ライブ』として発売されました。

デビュー50周年を迎える2022年には、アビーロード・スタジオでリマスターが行われ、オリジナルのLP復刻やいくつかのシングル盤が再リリースされました。これには、新たに制作された7インチシングルおよびSHM-CDも含まれ、豪華な「超豪華 Super Deluxe」として発売されました。これには、関係者向けパンフレットや当時の音源も収められています。

収録曲

アルバムには、各シングルに関する詳細が別途説明されているため、ここでは曲のタイトルに焦点を当てていきます。オリジナルのアナログ盤では、7曲目以降がB面として設定されていました。

• - 魔法の黄色い靴 (THE YELLOW MAGICAL SHOES)

デビューシングルとしても知られています。

• - あいつが去った日 (SKY WAS SO HIGH)

脱退したメンバーに捧げられた曲で、悲しみの象徴として青い空が描かれています。

• - 千鳥橋渋滞 (GOOD-BY , MY GOOD DAYS)

福岡市に実在する橋を歌った楽曲で、ボーカルは姫野が担当しています。

• - ハーモニー (HARMONY)

デビューシングルのB面曲。タイトルは変更されて収録されています。

• - おいらの気楽な商売 (HAPPY GUY)

福岡時代の作品で、メロディが印象的です。

• - 私の小さな人生 (MY TINY LIFE)

福岡時代のシングルを再録した曲で、アレンジが大きく変更されています。

• - もう笑わなくっちゃ (WHY DON'T YOU LAUGH)

チューリップらしい音楽性が強調された作品です。

• - 言葉が出ない (I'VE LOST MY WORDS)

ボーカルは吉田が担当しています。

• - 思えば遠くへ来たものだ (SO FAR AWAY)

中原中也の詩を基にした歌詞が特徴的です。

• - どうして僕は淋しいんだ (ONE LONELY DAY)

より感情豊かな描写で歌われます。

• - 風 (THE WIND)

ボーカルは姫野が担当。様々な感情が表現されています。

• - 大魔法の黄色い靴 (AN OLD FAMOUS YELLOW MAGICAL SHOES)

特徴的な合唱が印象的な曲です。

参加ミュージシャン

アルバムに参加しているメンバーは、財津和夫、吉田彰、安部俊幸、上田雅利、姫野達也がいます。それぞれのスキルが活かされており、他にはゲストのミュージシャンも参加しています。

また、アルバムに封入されていた「チューリップタイムス新聞」には、歌詞やメンバーの近況、業界人からのメッセージが載せられており、ファンに向けた貴重な資料となっています。

『魔法の黄色い靴』は、その後のチューリップの音楽活動の基盤となる重要なアルバムであり、日本の音楽史においても特別な意味を持つ作品です。

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