鳥居泰彦

鳥居泰彦

鳥居泰彦（1936年10月15日 - 2019年7月1日）は、日本の著名な経済学者であり、教育者としても多大な貢献をしました。統計学と経済発展理論を専門とし、慶應義塾大学で経済学博士号を取得。慶應義塾大学の学部長、塾長（2期8年）、文部科学省中央教育審議会会長（初代から第3期まで6年）、日本私立学校振興・共済事業団理事長などを歴任しました。その功績から、没後に従三位叙位、瑞宝大綬章を受章しています。

経歴

東京府で生まれた鳥居泰彦は、慶應義塾大学経済学部を卒業後、同大学大学院で経済学の研究を深めました。1966年には経済学博士号を取得し、その後、慶應義塾大学経済学部の助手、助教授、教授として教鞭を執りました。1989年から1993年までは経済学部長を務め、1993年には慶應義塾長に就任、2001年まで2期8年務めました。塾長時代には、新川崎タウンキャンパスや鶴岡タウンキャンパスの開設、丸の内シティキャンパスの開業、看護医療学部の新設など、大学改革に積極的に取り組みました。

学術研究

鳥居の学術研究は、マレーシアの産業連関表の作成や、開発途上国のインフォーマルセクターに関する研究に重点が置かれました。特に、タイや韓国での調査研究を通じて、経済発展における重要な知見を提供しました。著書『経済発展理論』は、研究者の間で広く読まれており、統計学の入門書も執筆するなど、教育者としても貢献しました。教え子には、秋山裕や深作喜一郎など、学術界や実務界で活躍する多くの人材を輩出しています。

社会活動

社会活動においては、1996年に中央銀行研究会の座長として、旧日本銀行法の改正に尽力しました。この改正により、日本銀行の独立性が強化されたと評価されています。また、2001年には文部科学省中央教育審議会の初代会長に就任し、6年にわたり日本の教育行政に深く関わりました。教育基本法の改正や、法科大学院・高度専門職業人養成大学院の設置基準の策定など、日本の教育改革に大きな影響を与えました。

その他、日本私立学校振興・共済事業団の理事長や東芝取締役、防衛大学校学術・教育振興会理事なども務め、幅広い分野で社会に貢献しました。

政治思想

鳥居は、保守的な政治思想の持ち主としても知られています。2003年には、衆議院憲法調査会で、犯罪率の増加が外国人の犯罪増加によるものであるとの発言をし、批判を受けました。また、教育基本法改正を求める答申をまとめ、「公共の精神」や「道徳心」を重視する教育を提唱しました。2013年には、道徳教育において自己犠牲と我慢を教えるべきと主張し、議論を呼びました。さらに、安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会を発足させ、憲法改正を目指す団体にも参加するなど、政治活動にも積極的に関与しました。

年譜

1936年 - 東京府に生まれる
1951年 - 茨城中学校卒業
1954年 - 茨城県立水戸第一高等学校卒業
1961年 - 慶應義塾大学経済学部卒業
1963年 - 同大学大学院経済学研究科修士課程修了
1965年 - 同博士課程満期取得
1966年 - 経済学博士（慶應義塾大学）
1966年 - 慶應義塾大学経済学部助手
1967年 - スタンフォード大学訪問研究員
1968年 - カリフォルニア大学バークレー校国際研究所研究員（1969年まで）
1969年 - 慶應義塾大学経済学部助教授
1976年 - 同学部教授
1989年 - 同学部長（1993年まで）
1993年 - 慶應義塾長（2001年まで）
2001年 - 慶應義塾学事顧問
2001年 - 文部科学省中央教育審議会会長（第1期〜第3期）（2006年まで）
2002年 - 日本私立学校振興・共済事業団理事長
2019年 - 心不全のため死去。従三位叙位、瑞宝大綬章受章

著書

『はじめての統計学』（日本経済新聞社、1994年）
『経済発展理論』経済学入門叢書 10（東洋経済新報社、1979年）
『回想　慶応義塾』（慶応義塾大学出版会、2013年）

翻訳

ヨトポロス、ヌジェント著『経済発展理論-実証研究-』（慶応通信、1984年）



鳥居泰彦は、経済学者、教育者として多岐にわたる分野で日本の発展に貢献した人物です。

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