鳩槃荼

鳩槃荼（くばんだ）について

鳩槃荼（くばんだ、くはんだ）は、インド神話に起源を持つ鬼神であり、仏教においては護法神としての地位を確立しています。サンスクリット語では「クンバーンダ（Kumbhāṇḍa）」と呼ばれ、パーリ語では「クンバンダ（Kumbhaṇḍa）」と表現されます。これらの言葉はそれぞれ「水瓶」を意味する「クンバ」と「陰嚢」を意味する「アンダ」に由来しており、「水瓶のような陰嚢を持つ者」という意味合いを持っています。日本語では主に冬瓜鬼（冬苽鬼）、厭眉鬼（えんびき）などの名前で知られることもありますが、特にその形状から「冬瓜鬼」と呼ばれることが多いです。

神格と役割

鳩槃荼はしばしば鳩槃荼衆と呼ばれる集団の一部として語られ、一つの神格として認識されることは少ないのが特徴です。ヒンドゥー教の神話においては、彼は暴風神ルドラの従者とされることがあり、自然災害の象徴ともされています。一方、仏教の教えにおいては、彼は四天王の一尊であり、南方を守護する増長天に従う位置づけにあります。

鳩槃荼は、人の精気を食べる存在とも言われ、特に睡眠を妨害することで災いを引き起こすとして「厭魅鬼」と称されることがあります。彼の象徴的な要素である巨大な陰嚢は、その姿勢から「冬瓜鬼」としての呼称がつけられた背景とも思われます。

形象と引用

彼の形象は『胎蔵界曼荼羅』の最外院に見られることがありますが、そこに描かれている二尊は首が馬で身体が人間の形をしているものの、実際には鳩槃荼ではなく緊那羅の誤って記されたものと考えられています。さらに、奈良の興福寺には、八部衆の一尊として憤怒相の武人形が存在し、この像が元々鳩槃荼として作られたのかは明確ではありません。

真言

鳩槃荼を祀る際の真言は、以下の通りです:

• - オン　クハンダハタエイ　ソワカ（オーン　鳩槃荼の主に　スヴァーハー）

この真言は、彼に対する信仰や祈りの象徴として用いられ、鳩槃荼とその信者の間に深い結びつきをもたらします。

まとめ

鳩槃荼は、多面的な側面を持つ鬼神であり、インド神話及び仏教の中での役割や象徴において興味深い存在です。その特異な形象や性質は、多くの信仰や文化に影響を与えてきたことが伺えます。そして、彼の存在は、単なる神格以上のものであり、自然の脅威や人間の内面的な問題との関連を持つとも考えられています。

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