鳳来寺

鳳来寺の概要

愛知県新城市に位置する鳳来寺（ほうらいじ）は、鳳来寺山の山頂近くにある真言宗五智教団の寺院です。薬師如来を本尊としており、その背後には利修仙人による開山の伝説が息づいています。参道の石段は1,425段に及び、訪れる人々にとっては信仰の象徴とされています。また、徳川家光によって建立された鳳来山東照宮は、神仏分離後に神社として独立し、国の重要文化財に指定されています。鳳来寺周辺では、愛知県の県鳥であるコノハズクが数多く見られ、自然環境の豊かさも魅力の一部です。

歴史的背景

開創の伝説

鳳来寺の創建は大宝2年（702年）に遡ります。開山の利修仙人が霊木の杉を使って薬師如来や菩薩像を彫刻したとされ、文武天皇の病を癒すために鳳凰に乗って参内したという伝説があります。この出来事は、寺名と山名の由来に深く関わっています。利修の祈祷によって天皇の病が快癒したことから、鳳来寺には伽藍が建立されたと伝えられています。

中世と戦国時代

鎌倉時代には源頼朝によって再興されたというエピソードもあり、肝心の参道の石段は彼の寄進によるものとされています。平治の乱で頼朝が匿われたのが医王院であったとも言われています。また、最近の考古発掘では、12世紀後半から13世紀初頭にかけて経塚や納骨が行われた痕跡が見つかりました。中世が進むにつれ、鳳来寺は特定の高貴な階層による信仰の対象となっていきました。

戦国時代には近隣の菅沼氏から寄進を受けましたが、豊臣秀吉の時代には寺領の大部分が没収され、悲しい結果を招きました。

近世の繁栄

江戸時代に入ると、幕府の保護を受けて850石に増領され、その後も家光によって大いに栄えます。家康の生母が鳳来寺に参籠したという話も広まり、家光の指示により伽藍の改築や東照宮の造営が行われました。この時期には、鳳来寺は多くの信者を集め、重要な信仰の場としての地位を確立しました。また、鳳来寺には多くの僧坊が存在し、この時期の建築物は地域にとって重要な文化財となっております。

近代と変遷

明治時代になると、東照宮の祭事を社僧や別当が行っていたために寺院と東照宮が分離されました。寺社領の没収により、寺院は衰退し、新たな再建の必要が生じます。1905年には高野山から住職が派遣され、再建の試みが行われました。1906年には真言宗に統一され、寺院は存続の道を探ることとなりましたが、多くの僧坊は火災や経済的困難により廃絶し、現在は松高院と医王院の2院が残るのみです。

文化財とアクセス

鳳来寺には重要文化財として仁王門があり、1651年に再建されたものです。鳳来寺山自体も名勝として国に指定されており、多くの観光客や信者が訪れます。所在地は愛知県新城市門谷字鳳来寺にあり、交通アクセスも良好です。JR飯田線の湯谷温泉駅からは車で20分ほど、豊鉄バスが定期的に運行しています。

以上のように、鳳来寺は歴史的価値と深い信仰が融合した特別な場所であり、今なお多くの人々に愛されています。

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