鳴尾飛行場

鳴尾飛行場の歴史と概要

鳴尾飛行場（なるおひこうじょう）は、昭和18年（1943年）に日本の兵庫県武庫郡鳴尾村（現在の西宮市枝川町）に設立された大日本帝国海軍の航空基地です。この飛行場は、川西航空機が製造した軍用機の試験にも使用される重要な施設の一つでした。具体的には、海軍航空隊の拠点として機能し、阪神地区の防空活動の一環として存在しました。

飛行場の構造

鳴尾飛行場の面積は約1,260,000平方メートルであり、X字型の交差滑走路が特徴的でした。滑走路には、全長1,200メートル、幅100メートルのコンクリート舗装のものが2本設けられ、さらに誘導路も数本ありました。このような規模と構造は、戦時中の軍事作戦において非常に役立つものでした。

陸上機製造への転換

川西航空機は元々水上機の製造を行っていましたが、陸上機「紫電」の開発に着手することとなりました。この背景には、鳴尾競馬場が大正3年（1914年）に帝国飛行協会の第1回飛行機競技会を開催したという歴史もあります。そこで、陸上機の試験飛行を行うための拡張がなされ、周囲の地域が接収される形で飛行場が完成しました。

特に、鳴尾競馬場の大スタンド部分は管制塔として利用され、大変重要な役割を果たしました。

軍隊の活動

完成後は、海軍航空隊の三三二空がこの飛行場に配備され、関西や名古屋地方の防空に貢献しました。昭和19年（1944年）には三四五空が編制され、鳴尾飛行場でも練成訓練が行われました。さらに、昭和20年（1945年）には三三二空本隊が展開しましたが、同年3月19日には米機動部隊の攻撃を受け、その後終戦を迎えることとなりました。

戦後の変遷

終戦後、鳴尾飛行場は米軍に接収され、その後様々な団体に払い下げられました。現在では、跡地には浜甲子園団地や武庫川女子大学のキャンパスが存在しています。また、飛行場の管制塔として使用されていた建物は、武庫川女子大学附属中学校・高等学校内に「芸術館」として現存しています。これらの遺構は、歴史を物語る貴重な文化財として保存されています。

年表

• - 昭和18年（1943年） - 飛行場開設。
• - 昭和19年（1944年）

- 1月15日 - 三四五空開隊。地元での練成訓練を開始。
- 7月10日 - 三四五空解隊。
- 12月17日 - 三三二空鳴尾派遣隊が展開、関西・名古屋地方の防空任務を担当。

• - 昭和20年（1945年）

- 2月5日 - 三三二空本隊が展開。
- 3月19日 - 米軍の空襲による被害。

• - 昭和32年（1957年） - 米軍接収解除。

参考文献

• - 碇義朗『最後の戦闘機 紫電改〜起死回生に賭けた男たちの戦い』（光人社NF文庫、2007年）

私たちの歴史を知るための貴重な資源として、鳴尾飛行場の存在は無視できないものです。

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