鴫野彰

鴫野 彰（しぎの あきら）

概要

鴫野彰（1954年1月19日生まれ）は、日本の著名なアニメーション演出家および監督であり、2024年5月30日にこの世を去りました。北海道出身で、別名義に「しぎのあきら」や「義野利幸（ぎゃりこ）」があります。彼は特に、アニメーター・演出協会（JAniCA）のメンバーでもありました。

代表作とその影響

鴫野は『超攻速ガルビオン』や『おそ松くん』、さらには『こちら葛飾区亀有公園前派出所（TVスペシャル）』といった作品で知られています。また、『ヤッターマン（リメイク版）』や『劇場版クレヨンしんちゃんシリーズ』など、彼の手によるアニメ作品は多岐にわたります。特に『クレヨンしんちゃん』では、1992年の放送開始から彼が手がけ続け、2024年の逝去まで32年間絵コンテを担当しました。彼の作風は、コミカルでテンポの良い演出が特徴で、ギャグアニメでの即興的な発想が評価されてきました。

来歴

彼は室蘭市で生まれ、アイヌの血を引く母親の影響を受けました。元々は漫画家を目指していましたが、タツノコプロの子会社であるアニメフレンドで撮影スタッフとしてのキャリアを開始しました。『ヤッターマン』や海外の合作アニメなどで撮影を担当する中で、押井守がスタジオぴえろに移籍する際に自身も同社へ移動し、『ゼンダマン』の演出でキャリアをスタートさせました。その後、彼は数多くの作品で演出を手がけ、特に『タイムボカンシリーズ』や『ななこSOS』への関与が評価されています。

彼は、スタジオぴえろの初代室長を務めるなど、スタジオの発展にも寄与しました。2001年にはスタジオぴえろを辞し、フリーランスとして活動を開始し、アークトゥールスやサンライズ、エー・ラインを経て自らのアキラスタジオを設立しました。

監督業の展開

彼は『妖怪ウォッチ』や『LINE TOWN』などの子供向けアニメに多く関与しています。さらに、2009年からは『クレヨンしんちゃん』の劇場版にも監督として参与し、2009年に『オタケベ!カスカベ野生王国』、2010年には『超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁』を手がけました。後者は首都圏での放映に加え、2011年に北京国際映画祭でも紹介され、彼自身が舞台挨拶を行うなど国際的な評価も得ています。

作風の特徴

彼の演出スタイルは、テンポの良さとユーモアが生み出す独自の空気感にあります。特にボケやツッコミをうまく組み込んだ構成や、脚本にないアイディアを意図的に加えた演出がそれを裏付けています。『クレヨンしんちゃん』では、彼自身をネタにしたセリフも使われるなど、視聴者との一体感を生み出していました。ペンネームの「義野利幸」は、彼が大好きなアメリカの作家ポール・ギャリコから名付けられたもので、彼のファンとしての姿勢も伺えます。

逝去

2024年5月30日、胆管癌に苦しみながら70歳で他界しました。その死は日本のアニメ業界において大きな損失として受け止められています。彼の手がけた数多くの作品は、今もなお多くのファンに愛され、彼の演出スタイルや存在感は、アニメーションの歴史に深く刻まれているのです。

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