鵤荘

鵤荘（いかるがのしょう）について

兵庫県の太子町、姫路市、たつの市近辺に位置していた鵤荘は、播磨国揖保郡に存在した歴史深い荘園です。この荘園は法隆寺の創設時にその所領となり、その名は法隆寺がある大和国の斑鳩に由来しています。

鵤荘の歴史

鵤荘の歴史は古く、747年に成立した『法隆寺伽藍縁起并流記資財帳』によると、598年には聖徳太子が岡本宮にて『法華経』と『勝鬘経』を推古天皇に説いた際に、法隆寺の祭建資として水田219町以上、薗地、山林、池、庄倉、封戸を贈与されたと伝えられています。これが鵤荘の起源とされています。

初めは法隆寺の初期荘園として機能していたようですが、記録にその名が登場するのは平安時代後期からです。1039年には、法隆寺の管理者である親誉大徳により、官省符荘としての手続きが行われ、この頃に正式に『鵤荘』と呼ばれるようになったと考えられています。法隆寺はこの地に斑鳩寺を創建し、政所の活動や文化的な布教の中心として利用しました。

鵤荘の戦国時代の状況

1186年には金子家忠がこの荘の地頭に任命され、その後、法隆寺に対する押領を企てましたが、後白河法皇の命令によってその試みは阻まれました。鎌倉時代に入ると、周辺の開墾が進み、荘面積は360町に広がりましたが、一時的に鎌倉幕府に没収され、1319年に返還されました。この荘の管理はその後も法隆寺に引き継がれました。

1336年、新田義貞は足利尊氏と連携し、播磨国の赤松則村を攻めるために鵤荘を占拠しました。また、1497年には戦国時代の中でも安定した荘の支配が続いたものの、戦乱の影響でその姿は変わっていきました。鵤荘は1329年や1386年に作成された荘絵図や、1398年から1545年にかけての記録『鵤荘引付』など、多くの中世荘園に関する資料を残しています。

鵤荘の牓示石

鵤荘には「太子のはじき石」や「太子の投げ石」と呼ばれる石がいくつか残されています。これは聖徳太子がこの荘の境界を示すために設置したとされる大きな石で、太子町内の6ヶ所に存在し、そのうち4ヶ所は兵庫県の指定文化財に指定されています。指定文化財の石は、鵤北山根、平方、東南、東出の各地域に位置し、その他にも文化財指定外の石があります。

まとめ

鵤荘は、その歴史的背景や文化財、聖徳太子に関連する伝承によって特に重要な位置を占める庄園です。この地は法隆寺の発展と深く結びついており、多くの歴史的記録が残されていることから、地域文化における重要な資源であると言えるでしょう。

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