鶏伝染性気管支炎

鶏伝染性気管支炎とは

鶏伝染性気管支炎（英：avian infectious bronchitis）は、ニワトリに感染するウイルス性の病気です。この感染症は、鶏伝染性気管支炎ウイルスによって引き起こされます。日本においては、家畜伝染病予防法に基づき、届出伝染病として指定されており、診断や対策が重要視されています。法令上、従来の名称である「伝染性気管支炎」から「鶏伝染性気管支炎」という名称に改められました。

病原体の特徴

鶏伝染性気管支炎ウイルスは、RNAウイルスの一つで、コロナウイルス科のガンマコロナウイルス属に属しています。このウイルスは致死率は低いものの、非常に強い感染性を持ち、潜伏期間は1〜3日と短いのが特徴です。即ち、感染が広がるスピードが早いため、飼育環境において注意が必要です。

この感染症は、鶏の品種や性別、さらには年齢を問わず発生しやすく、主に呼吸器系の症状が表れます。特に病状が進行すると、特徴的な奇声を発することがあり、猫の鳴き声に似た鳴き方をすることがあります。この症状は非常に特異であり、他の感染症とも区別される要因です。

症状と病理学的所見

鶏伝染性気管支炎に感染した鶏は、気管や鼻道、副鼻腔に滲出液が認められるほか、呼吸器系でのカタル性炎症が観察されることがあります。さらに、腎臓が腫大することが多く、産卵鶏の場合には、輸卵管の萎縮が発生することもあります。このため、飼育現場では特に産卵に関連する症状が重視されます。

診断方法

鶏伝染性気管支炎の診断には、いくつかの方法がありますが、最も確実な方法は発育鶏卵や鶏腎培養細胞を使用してウイルスを分離することです。また、中和試験、寒天ゲル内沈降反応、蛍光抗体法、ELISAといった試験も用いられます。これにより、感染の有無を的確に判断することが可能です。

予防策

予防に関しては、生ワクチンと不活化ワクチンが使用されますが、ウイルスの抗原性に違いがある場合には、十分な効果が得られないこともあります。そのため、ワクチン接種計画は専門家と相談の上、慎重に行う必要があります。

他の感染症との鑑別も重要であり、肺脳炎型ニューカッスル病、伝染性喉頭気管炎、伝染性コリーザとの症状を見極めることが求められます。

参考文献

• - 清水悠紀臣ほか『動物の感染症』近代出版 2002年 ISBN 4874020747

関連項目

• - 家畜伝染病
• - 牛コロナウイルス病
• - 唾液腺涙腺炎
• - 猫伝染性腹膜炎
• - 豚伝染性胃腸炎
• - 豚流行性下痢
• - マウス肝炎

鶏伝染性気管支炎は、ニワトリの健康に大きな影響を及ぼすため、早期発見と適切な対策が欠かせません。

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