鶴慶府

鶴慶府（かくけいふ）

鶴慶府は、中国にかつて存在した地方行政区画であり、現在の雲南省大理ペー族自治州北部に位置していました。この地域は、南詔時代から清代にかけて、その行政区分や支配者が幾度も変遷を遂げました。以下に、鶴慶府の歴史的変遷とその詳細について解説します。

南詔・大理国時代

この地域は、南詔時代には謀統郡として知られていました。南詔は、8世紀から10世紀にかけて雲南地方を支配した王国です。その後、大理国（10世紀から13世紀）の時代になると、この地域は引き続き謀統府と称されました。大理国は、南詔の後を継いで雲南地方を支配した王国であり、この地域もその統治下にありました。

元代

13世紀、モンゴル帝国（元）がこの地域に侵攻し、1253年（憲宗3年）には、義督𧸘によって鶴州が設置されました。この鶴州は、モンゴル帝国による地方統治の一環として設置されたものです。その後、1286年（至元23年）には、鶴州は鶴慶路に昇格しました。鶴慶路は、元朝の行政区分である雲南等処行中書省に属し、剣川県1県を管轄していました。この時期には、モンゴル帝国の直接的な支配が及び、行政区画も大きく変更されました。

明代

明朝が成立すると、1382年（洪武15年）に、鶴慶路は鶴慶府と改められました。これは、明朝による地方行政制度の再編の一環でした。1397年（洪武30年）には、鶴慶府は鶴慶軍民府と改称されました。鶴慶軍民府は、雲南省に属し、剣川州と順州の2州を管轄しました。この時期には、地方の豪族である高氏が土司として知府の地位を世襲していました。しかし、1437年（正統2年）には、当時の鶴慶土知府であった高倫が非行を理由に沐昂に逮捕されるという事件が起こりました。その後、1443年（正統8年）には高倫が処刑され、改土帰流により林遒節が鶴慶府知府に任命されました。これにより、鶴慶府は土司による世襲制から、流官による統治へと移行しました。明代の鶴慶府は、政治的な変革を経験し、中央政府の影響力が強まりました。

清代

清朝の時代になると、1770年（乾隆35年）に鶴慶府は鶴慶州に降格され、麗江府に属するようになりました。これは、清朝による行政区画の再編によるものでした。鶴慶州は、清朝の地方統治機構の一環として機能しました。

中華民国時代

1913年、中華民国が成立すると、鶴慶州は廃止され、鶴慶県と改められました。これにより、鶴慶府から始まったこの地域の行政区画は、近代的な県という単位へと移行しました。

まとめ

鶴慶府は、南詔時代から中華民国時代にかけて、その行政区分や支配者が幾度も変遷を遂げた地域です。南詔の謀統郡、大理国の謀統府、元代の鶴州から鶴慶路、明代の鶴慶府、そして清代の鶴慶州へと、その形態は変化し続けました。最終的には、中華民国時代に鶴慶県となり、近代的な行政単位に組み込まれました。この地域の歴史は、中国の地方行政制度の変遷を理解する上で重要な事例の一つと言えるでしょう。

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