鷲羽山駅

鷲羽山駅（わしゅうざんえき）

鷲羽山駅は、かつて岡山県倉敷市下津井田之浦に位置していた、下津井電鉄下津井電鉄線の廃駅です。風光明媚な鷲羽山の観光拠点として、その歴史を刻みました。

概要

鷲羽山が国の名勝に指定されたことを受け、登山客の増加に対応し、観光客誘致を目的に開設されました。当初は期間限定の臨時駅でしたが、すぐに通年営業となり、年間を通して利用客を迎えていました。

瀬戸大橋開通後、下津井電鉄は鷲羽山からの瀬戸大橋の眺望をアピールし、観光路線としての再生を図りました。しかし、実際に瀬戸大橋を一望できるのは鷲羽山駅付近に限られ、駅と琴海駅の間、鷲羽山山頂から鷲羽山スカイライン沿いの一部区間のみでした。

しかし、モータリゼーションの進展による利用客の減少に加え、瀬戸大橋線の開通によって下津井電鉄のバス部門のドル箱路線であった岡山 - 児島間の乗客が激減し、鉄道部門の赤字を補填することが困難となり、1991年1月1日に下津井電鉄線全線とともに廃止されました。

歴史

1930年（昭和5年）11月19日：鷲羽山が国の名勝に指定。
1931年（昭和6年）5月1日：臨時駅として開業。当時の所在地は岡山県児島郡下津井町大字田之浦でした。
1931年（昭和6年）7月10日：常設駅に昇格。
1948年（昭和23年）4月1日：児島市成立に伴い、所在地が岡山県児島市田之浦に変更。
1967年（昭和42年）2月1日：倉敷市への編入合併により、所在地が岡山県倉敷市下津井田之浦となる。
1968年度：駅業務が外部委託化。
1972年（昭和47年）4月1日：茶屋町 - 児島間が廃止され、駅が無人化。
1973年（昭和48年）：住居表示の変更により、所在地が現行の表示となる。
1984年（昭和59年）10月1日：琴海 - 鷲羽山間にトンネル工事が着工。下津井電鉄線初のトンネル。
1985年（昭和60年）：トンネル工事のため、一部区間が仮線に切り替え。
1986年（昭和61年）5月15日：駅舎を撤去。ホームを下津井方面に延長し、廃車車両モハ110を待合室兼瀬戸大橋眺望室として設置。
1987年（昭和62年）3月：瀬戸中央自動車道・JR本四備讃線との交差部分のトンネルが完成。
1991年（平成3年）1月1日：児島駅 - 下津井駅間が廃止され、鷲羽山駅も廃止。

駅構造

単式ホーム1面1線の地上駅でした。1986年の改修工事でホームが延長され、廃車車両（モハ110）を利用した待合室が設置されました。ホーム上の柵で仕切られた内側がコンコースのような役割を果たし、待合室もそのエリアに設けられていました。ホーム上屋には大きな駅名標と注意書きが設置されていましたが、改修工事の際に撤去されています。

廃止後

廃止された区間は、歩行者と自転車専用道「風の道」として整備されています。現在もプラットホームが残り、鷲羽山駅跡を示す駅名標の碑やベンチ、公衆トイレが設置されています。かつて廃車体の待合室があった場所は展望台として整備されています。

鷲羽山下電ホテル駐車場には、移設された車両の横に、かつての駅名標を再現したものが設置されています。

隣の駅

下津井電鉄

下津井電鉄線

東下津井駅 - 鷲羽山駅 - 琴海駅

脚注

下津井電鉄歴史資料館
* ストラクチャーの魅力 海の見える駅その2 下津井電鉄鷲羽山駅（南軽出版局）

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