鷲頭弘忠

鷲頭弘忠

鷲頭弘忠（わしず ひろただ）は、室町時代中期の武将であり、長門国守護代を務めました。

出自

鷲頭氏は大内氏の庶流にあたります。大内盛房の三男である鷲頭三郎盛保を祖とし、周防国鷲頭庄を所領としました。弘忠は鷲頭氏の6代目にあたります。

略歴

鷲頭弘忠は鷲頭弘為の子として生まれました。永享4年（1432年）、大内持世によって長門守護代に任命され、長門深川城を居城としました。長門守護代はそれまで大内氏の重臣である内藤氏らが任じられていたことから、大内氏からの厚い信頼が窺えます。

嘉吉元年（1441年）に大内持世が亡くなると、教弘が跡を継ぎましたが、弘忠と教弘は不仲であったと考えられています。文安3年（1446年）4月15日には守護代の任を解かれました。一説によると、大友氏や少弐氏との戦いでの活躍や、筑前国粥田荘（仁和寺領）の代官を務めるなど九州での地盤を広げ、文武両面で勢力を拡大したことが警戒されたとも言われています。

粥田荘は本家を仁和寺、領家を高野山金剛三昧院が占める重層支配の構造となっていました。弘忠が仁和寺から直接代官に任じられる一方で、領家である金剛三昧院が任じた代官を少弐氏と内通した疑いで追放し、金剛三昧院の権利を没収したことが教弘の不快感を買ったとも考えられています。その後、弘忠は本拠である深川城の周辺に支城を築き、教弘の攻撃に備えました。

弘忠は当初、教弘が響灘の深川湾へ水軍をもって侵攻すると考え、亀山城を築いて備えました。しかし、実際に攻撃が始まると、教弘は現在の美祢市方面から侵攻し、鷲頭氏家臣の刺賀氏が守る堅田城や沢差城などを落城させ、搦手から深川城に迫りました。

文安5年（1448年）2月17日、ついに深川城は陥落し、弘忠はもちろんのこと、その子である弘貞を含む一族郎党全てが討たれたと伝えられています。

なお、大内氏の菩提寺である大寧寺は弘忠が開基したものであり、現在でも弘忠の墓が残っています。

もう一度検索