大内持世

大内持世：室町時代の守護大名

大内持世（おおうち もちよ）は、室町時代中期に活躍した武将であり、周防・長門・豊前・筑前の守護大名でした。大内氏の第12代当主として、激動の時代を生き抜きました。

生涯

大内持世は、第10代当主・大内義弘の子として生まれました。ただし、第9代当主・大内弘世の子とする説もあります。幼名は九郎。元服の際には、第4代将軍・足利義持から偏諱を授与され「持世」と名乗りました。「世」の字は、祖父である弘世から取られたものです。

永享3年（1431年）、叔父である第11代当主・大内盛見が大友氏・少弐氏との戦いで戦死。その後、大内氏の家督を巡り、内部で争いが勃発しました。盛見は生前、持世に家督と長門を除く所領を、弟の持盛に長門を継がせるよう遺言していたとされます。しかし、別の記録では、当初持盛を大内家の当主とし、周防国と安芸国の一部の所領を継がせ、持世には長門国・筑前国・豊前国を継がせ、一族の大内満世には石見国迩摩郡と長門の一部を与える予定だったとされています。

大内氏の重臣であった内藤智得が盛見の遺志を持ち出し、持世を大内家の当主とし、持盛には長門国と迩摩郡・安芸の一部を継がせるよう室町幕府に働きかけた結果、幕府に認められました。この決定に不満を持った持盛は、永享4年2月10日に九州出陣中の持世の陣を襲い反乱を起こし、満世を味方につけて大内氏領国の掌握に成功。持世は石見国の三隅氏を頼って逃亡しました。

しかし、持世は国人衆の支持を背景に、翌月には山口を奪還。持盛・満世は大友持直を頼りました。第6代将軍・足利義教は持世を支持し、修理大夫の官途を与えます。持世も幕府に働きかけ、大友親綱と菊池兼朝をそれぞれ豊後国と筑後国の守護に任命させ、味方につけました。

永享5年（1433年）4月、持盛は豊前国で、満世は逃亡先の京都で討ち取られました。同年3月には幕府から大友持直・少弐満貞追討命令が出され、持世は九州へ下向。安芸・石見・伊予の国人衆や河野通久・大友親綱らと協力して少弐満貞・資嗣父子を討ち取り、大友持直と戦い勝利し勢力を拡大しました。翌年に少弐嘉頼・大友持直が再び兵を挙げると、永享7年（1435年）に再び九州へ向かい北九州を平定、少弐氏を滅亡寸前まで追い込み、九州千葉氏の内紛にも関与しました。

永享11年（1439年）、九州遠征を終えた持世は山口に帰還しますが、大内氏の勢力拡大を警戒した将軍・足利義教は、6月に持世が上洛命令に応じないことを理由に安芸国の所領を没収しました。永享12年（1440年）に足利義教に少弐嘉頼・教頼兄弟との和睦を取り持ってもらうことで少弐氏を存続させ、自身も上洛しました。これは、少弐氏と同盟関係にある対馬の宗氏との関係悪化を恐れたためとも言われています。また、持世が李氏朝鮮に対し、対馬の割譲と引き換えに軍事同盟を結び、少弐・宗両氏を滅ぼそうと計画していたという説もあります。

当時、足利義教によって一色義貫・土岐持頼が殺害される事件が起こり、持世の身も危惧されました。しかし、嘉吉元年（1441年）3月に持世が義教に反抗していた異母弟の義昭を匿っていた薩摩国の島津忠国を持世が説得してその首を差し出させたことが義教に評価されて信頼を得ました。しかし、同年の6月24日、赤松満祐が結城合戦の戦勝祝いとして開いた祝宴に義教に従い臨席していた際、義教が満祐に暗殺され、持世も重傷を負い、それがもとで7月28日に死去しました（嘉吉の乱）。享年48歳。跡は従弟（甥とも）で養嗣子の教弘が継ぎました。

死に際し、赤松征伐こそ最大の供養であると遺言したと伝えられています。法名は澄泉寺あるいは長泉寺殿道厳正弘大禅定門。墓所は山口県山口市の澄泉寺にあります。

持世は当主としての能力に優れていただけでなく、和歌にも優れた教養人であり、『新続古今和歌集』には多くの作品が遺されています。

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