大寧寺

大寧寺（たいねいじ）

大寧寺は、山口県長門市深川湯本に位置する曹洞宗の寺院です。山号は瑞雲萬歳山（ずいうんばんぜいさん）。正式には瑞雲萬歳山 大寧護国禅寺と称します。現在の住職は岩田啓靖氏が務めています。

歴史

大寧寺の歴史は、応永17年（1410年）に遡ります。当時、長門国深川城主であった大内氏一族の鷲頭弘忠が、能登国總持寺の禅僧、石屋真梁を招き、城内に康福寺を創建したのが始まりとされています。その後、康福寺が人里に近すぎたため、石屋禅師の高弟である智翁永宗の協力を得て、現在地に移転し、山号を大寧寺と改めました。以降、大寧寺は總持寺の直末寺として、高い寺格を維持しました。

開基を周防・長門の守護大名であった大内教弘、開山を智翁永宗とする説もありますが、大内教弘の生年が1420年であるため、年代的に矛盾が生じます。

文安5年（1448年）には、大内教弘によって鷲頭氏が滅ぼされましたが、大寧寺は大内氏の香華院として引き続き庇護を受けました。

また、政争に疲れて流浪の旅に出ていた元関東管領の上杉憲実が、この寺で晩年を過ごし、文正元年（1466年）に病死しています。

長享3年（1489年）には、出羽国寒河江氏13代当主の寒河江知広が大寧寺に寺領を寄進し、子院として澄江院を建立しました。これは、知広が二親供養のためにおこなったもので、当時、知広の父の叔父にあたる全岩東純が大寧寺七世住職であった縁によるものです。

天文20年（1551年）には、大内義隆が家臣の陶隆房（後の陶晴賢）の謀反に遭い、山口から脱出してこの寺に逃れましたが、陶軍に包囲されました。異雪慶殊（いせつけいじゅ）より戒名を授かった義隆は自刃し、寺も焼失しました（大寧寺の変）。その後、毛利氏の庇護を受けて再建されました。

寛永17年（1640年）には、火災により本堂・山門などが焼失しましたが、延宝5年（1677年）に益田元尭によって山門が再建されました。文政12年（1829年）には、衆寮の建替・増改築によって本堂も再建されました。

明治維新期の住職であった四十五世簣運泰成は、七卿落ちで京都から落ち延びていた三条実美を保護しましたが、廃仏毀釈に反対し、明治2年に発生した奇兵隊脱退騒動の処断に抗議して連座することとなり、山口を脱出して愛知の豊川稲荷に落ち延びました。藩の保護がなくなったことで維持管理が行き届かなくなり、老朽化した山門が解体されるなど、明治以後は徐々に荒廃していきましたが、その史的価値から保護保存の声が高まり、昭和40年代以降に境内や本堂などが県や市の有形文化財に指定されました。

平成22年（2010年）4月には、開創600年記念事業として歴史資料館「虎渓殿」が開館しました。また、同事業に関連して山門再建にかかる費用を6億円と見積もり、現在、再建のための浄財（寄付）を募っています。

法系

曹洞宗

文化財

本堂: 昭和54年（1979年）に山口県の重要文化財（有形文化財）の指定を受けています。衆寮を元に造られた本堂は珍しく、仏教寺院の本堂としては山口県下では最大級です。
境内・墓碑群: 昭和42年（1967年）に大内義隆公主従墓所が山口県指定史跡に、昭和48年（1973年）に毛利氏萩藩重臣墓碑群が長門市史跡となり、1979年2月6日には境内も山口県の史跡に指定されています。
鷲頭弘忠墓
上杉憲実墓
三条公頼墓
大内義隆公主従の墓所
萩藩重臣墓碑群
盤石橋: 自然石の組積みによって作られた石橋。寛文8年（1668年）に最初に架橋され、宝暦14年（1764年）に架け替えられており、早くから日本に突桁式工法による架橋（ゲルバー橋）が行われていたとされています。防長三奇橋のひとつ。
梵鐘: 昭和58年（1983年）6月1日に長門市指定有形文化財（工芸品）の指定を受けています。高さは97.3センチで、銘文によると応永3年（1396年）に筑前国葦屋津（現在の福岡県芦屋町）で鋳造されています。
位牌: 毛利元就が、大内義隆の七回忌供養時に祀った大内義隆他の位牌
詩碑: 詩人・児玉花外が青海島をうたった詩碑がある（1960年建立）。

近隣情報

所在地: 山口県長門市深川湯本1074

交通アクセス

JR美祢線 長門湯本駅から徒歩20分

その他

長門湯本温泉
長門豊川稲荷

外部リンク

大寧寺サイト

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