鷹野型給油艦

鷹野型給油艦について

鷹野型給油艦（たかのがたきゅうゆかん）は、大日本帝国海軍が計画した給油艦のひとつである。この艦型は、航空機搭載能力を持つ給油艦として設計され、特に第二次世界大戦中における航空戦力の不足を補うために企画された。1942年には、8隻の建造が計画されていたが、戦局の悪化に伴い1944年にすべての建造が中止された。

設計と特徴

鷹野型の最大の特長は、以前の給油艦「速吸」よりもさらに多くの航空機を搭載できることにあった。具体的には、艦上攻撃機「流星」を14機も搭載可能とされ、給油任務に加え、補助空母としての運用も視野に入れた設計であった。このような特徴は、ミッドウェー海戦での正規空母の喪失を受けて生じたものである。

基本的にこの艦型は「速吸」と似た構造を持っており、船体は約160メートルの長さを持ち、最大幅は約20メートル、満載時の排水量は19,228トンを予定していた。また、艦はカタパルトを搭載し、航空機を迅速に発進させる能力を備えていたが、着艦の能力はなかったため、発進した航空機は不時着水するか、自軍の基地へ帰還する必要があった。

建造の中止

この艦型の建造は、三菱重工業の長崎造船所で行う計画であった。しかし、戦局の悪化により、すべての艦が未着工のまま1944年5月に建造が取りやめとなった。この時期、すでに艦船の製造は難しくなっており、鷹野型給油艦もその犠牲となった。結果として、計画された8隻は完成することなく消え去った。

別の艦との比較

鷹野型は、同時期に建造された類似の船舶である特TL型戦標油槽船の特TL型「しまね丸」などとも対比される。特TL型は護送船団の護衛目的で改良されたもので、空襲によって早期に失われた運命にあった。こうした艦船は海軍の論理に基づいて正規空母の代替として構想されたが、結局実現することはなかった。

兵装詳細

鷹野型の兵装は、12.7cm連装高角砲が前後に各1基、また25mm機銃が3連装2基と連装1基、さらにカタパルト2基を搭載する計画であった。また、多様な補給物件が艦内に収納される予定であり、重油や軽質油、爆雷、弾薬などが包括された。

結論

鷹野型給油艦は、一見して戦時における補助的役割を大いに期待された艦船であったが、数々の困難な状況の中で未だ実現を果たせなかった。大日本帝国海軍の興亡を象徴する艦船のひとつとして、その計画が後に語られることとなるであろう。

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