鹿伝霖

鹿伝霖（ろく でんりん、Lù Chuánlín、1836年 - 1910年）は、清王朝末期の激動の時代を生きた官僚です。字は滋軒といい、直隷省定興県の出身でした。彼の人生は、父の死という悲劇的な出来事から大きく動き始めます。

1855年、鹿伝霖の父である鹿丕宗は貴州省都勻府の知府を務めていましたが、柳天成率いる苗民の蜂起軍に包囲されました。この時、鹿伝霖はわずか20歳でしたが、自ら兵を集めて父を救うために救援に駆けつけました。10カ月間、包囲に耐えましたが、ついに都勻府は陥落し、父は戦死しました。鹿伝霖は雲貴総督に父の死を報告し、都勻奪回作戦に参加。両親の遺骸を埋葬しました。この勇敢な行動は人々に知れ渡り、彼の名声は高まりました。

挙人の身分であった鹿伝霖は、欽差大臣勝保の軍に従軍し、捻軍との戦いで功績をあげ、同知という官職を得ました。1862年には進士に合格し、庶吉士に選ばれます。その後、広西省の知県として赴任し、匪賊討伐で手腕を発揮し、桂林知府に昇進します。1878年には廉州知府に異動。この時、清の副将であった李揚才が謀反を起こしてベトナムで挙兵しましたが、鹿伝霖は見事にこれを鎮圧し、恵潮嘉道に昇進しました。その後も、福建按察使、四川按察使、四川布政使と順調に昇進を重ねていきました。

1883年には河南巡撫に任命され、1885年には陝西巡撫に異動となります。病気のために一時退任しますが、1889年には陝西巡撫として復帰し、日[[清戦争]]では西安将軍も兼任して兵を派遣しました。1895年には四川総督に昇進し、1898年には広東巡撫、さらに江蘇巡撫へと異動しています。

1900年に義和団の乱が発生すると、鹿伝霖は兵を集め、混乱の中で西安へ逃走する西太后と光緒帝を護衛しました。この功績により、両広総督に昇進し、さらに軍機大臣に転任。その後、左都御史、戸部尚書を歴任しました。朝廷が北京に戻った後は、督弁政務大臣も兼務し、1905年には吏部尚書に遷りました。

1908年に宣統帝が即位すると、鹿伝霖は摂政王の醇親王載灃とともに西太后の遺詔を受け、太子少保、さらに太子太保となり、体仁閣大学士、東閣大学士を歴任しました。彼の死後、その功績を称えて文端の諡号が贈られました。

鹿伝霖は、清朝末期の混乱期において、地方官から中央の要職までを歴任し、その優れた統治能力と忠誠心によって、激動の時代を生き抜いた人物でした。彼の生涯は、清朝末期の歴史を語る上で欠かせないものと言えるでしょう。

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