鹿取克章

鹿取克章（かとり よしのり）氏は、1950年2月15日生まれの日本の外交官です。東京都出身で、神奈川県立湘南高等学校を経て、1973年に一橋大学経済学部を卒業後、外務省に入省しました。

外務省では、ドイツ語研修（フライブルク大学）や在ドイツ連邦日本国大使館での勤務を経て、北米局安全保障課長、北米局日米安全保障条約課長などを歴任しました。1996年には内閣官房内閣審議官（沖縄問題担当）として、沖縄問題にも携わっています。

2005年には、民間出身の高島肇久氏の後任として外務報道官に就任し、上海総[[領事館員自殺事件]]やドミニカ移住者問題などの対応にあたりました。特に上海総[[領事館員自殺事件]]においては、中国側に「遺憾な行為」があったとして抗議したことが、当時の報道で大きく取り上げられました。外務報道官としての職務を全うし、その責任感の強さを窺い知ることができます。

2008年にはASEAN担当の特命全権大使に任命され、総理特使として、東南アジア諸国やインド、韓国、中国などの首脳と会談を行いました。これらの外交活動を通じて、日本と各国との関係強化に尽力しました。その後、駐インドネシア特命全権大使も務め、インドネシアとの友好関係の発展にも貢献しました。

退官後は、外務省参与として、その豊富な経験と知識を活かして活動を続けています。また、東京ガス取締役やエルエスエイチアジア奨学会会長、日墺協会会長、日韓文化交流基金理事長、イオンワンパーセントクラブ理事など、多岐にわたる分野で活躍しています。

2024年には、長年にわたる外交への貢献が認められ、瑞宝重光章を受章しました。

鹿取氏の父は、元駐ソ大使・駐中国大使の鹿取泰衛氏であり、外交官一家に生まれたことが、その後の外交官としてのキャリアに影響を与えたと考えられます。同期には、河野雅治氏（元駐イタリア大使、元駐ロシア大使）、塩尻孝二郎氏（元EU大使、元駐インドネシア大使）、天野万利氏（元OECD事務次長）など、多数の著名な外交官がいます。

著作として、『神のマントが翻るとき:東西ドイツ統一と冷戦構造の崩壊』や『東アジアの平和と繁栄に向けて』などがあり、外交官としての経験や知見に基づいた内容となっています。鹿取氏の幅広い知見と経験は、国際社会において日本のプレゼンスを高める上で重要な役割を果たしました。

略歴

1969年 神奈川県立湘南高等学校卒業
1973年 一橋大学経済学部卒業、外務省入省
1974年-1976年 ドイツ語研修（フライブルク大学）
1976年-1978年 在ドイツ連邦日本国大使館三等書記官
1989年 在ドイツ連邦日本国大使館参事官
1992年 北米局安全保障課長
1993年 北米局日米安全保障条約課長
1994年 大臣官房報道課
1996年 内閣官房内閣審議官（沖縄問題担当）
1997年 ミュンヘン総領事
2000年 在大韓民国特命全権公使（総括）
2002年 大臣官房審議官
2003年 大臣官房領事移住部長
2004年 領事局長
2005年 外務報道官
2006年 駐イスラエル特命全権大使
2008年 特命全権大使（ASEAN担当）
2009年 特命全権大使（ASEAN 兼 科学技術協力担当）
2010年 外務省研修所長
2011年 駐インドネシア特命全権大使
2014年 退官、外務省参与（査察担当）
2015年 東京ガス取締役、一般財団法人CHIKYUJIN留学生支援機構会長
2022年 日韓文化交流基金理事長

主な著作

「多様性と厳しい現実で育まれたイスラエル性（特集 建国60年を迎えたイスラエル）」（外交フォーラム 21（12）（通号245）、2008年12月）
『神のマントが翻るとき:東西ドイツ統一と冷戦構造の崩壊』武田ランダムハウスジャパン (2010/8/31)
『東アジアの平和と繁栄に向けて』かまくら春秋社 (2020/11/20)

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