麻植氏

麻植氏の歴史と系譜

麻植氏（おえし）は、日本の武家の姓の一つで、特に徳島県に多く見られる一族です。この一族はさまざまな系譜を辿っており、その歴史は複雑かつ興味深いものです。

起源と系譜

麻植氏は主に三つの流派に分かれます。まず一つ目は、忌部氏流です。この流れは阿波国麻殖郡に起源を持ち、阿波の忌部氏の末裔にあたります。この流派からは、麻殖持光が知られています。２つ目は清和源氏の柿原氏流であり、阿波国阿波郡の柿原村から起こっています。ここには、上楼の役で活躍した柿原義長の名前が挙げられます。また、桓武平氏流では、1186年に平康頼が阿波国麻殖保の保司として麻植郡に領地を得たことが起源とされています。

事蹟

麻植氏の多くの事績は、主に足利氏との関連に見られます。足利泰氏の子、足利氏継は尾張国山田に住まいを構え、その子の兼氏は小笠原氏の一族の安宅長久と婚姻関係を結びました。その子孫である重氏は、尾張三郎と称され、小笠原氏と共に阿波国に移住し、阿波国大西城の城代に任じられました。さらに、重氏の子、俊氏は山田と改姓し、細川祐氏の娘と結婚。1340年には阿波国美馬郡の貞光へと入部しました。

一部の記録では、この流派は清和天皇の曾孫である源満政から派生した山田氏の一族であると考えられています。小笠原氏との網の目のように絡む婚姻関係、そして細川氏との縁組が重要な要素として挙げられます。山田俊氏の子である山田重時は、美馬九郎右衛門と称して、民部少輔に任官されました。その後麻殖郡飯尾村に移り、忌部神社の大宮司家の麻殖氏の娘と結婚し、麻植重時と名乗りました。

彼の子孫たちは、代々阿波細川氏に仕え、多くが志摩守を任官されましたが、戦国時代の激動の中で、三好氏との婚姻や統合が進みました。重俊は1579年に脇坂の戦いで討死し、その後の代も戦場で命を落としました。このことは、彼らが大将格の大名ではなく、中堅の武家として活動していたことを示しています。

さらに成義の弟、麻植成経もまた豊臣氏に仕官し、重要な戦闘には参加しました。また、成義の子孫の麻植重義は、美馬郡森山地方で庄屋として幕末を迎えることとなります。末裔には麻植豊などが挙げられ、その流れは現在まで続いています。

このように麻植氏は、複数の系譜や婚姻関係を背景に持ちながら、日本の武家社会において重要な役割を果たしてきました。彼らの歴史は、徳島県を中心に各地で今なおその名が語り継がれています。

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