麻植郡

麻植郡（おえぐん）

麻植郡は、かつて阿波国（現在の徳島県）に存在した郡です。古代には、忌部氏を率いて神武天皇の東征に貢献した天富命が、この地に麻を植えたという伝説が残っています。肥沃な土地を求めて阿波国を開拓した際、穀物とともに麻の種を植えたことが郡名の由来とされています。

古代

『古語拾遺』によると、天富命は紀伊国で木材を採取し、畝傍山の麓に橿原宮を造営しました。その後、肥沃な土地を求めて阿波国を開拓し、穀物とともに麻の種を植えたとされています。これが麻植郡の名の起こりです。

式内社

『延喜式』神名帳には、郡内の式内社が記録されています。

近世

明治維新後

明治初期、麻植郡は全域が阿波徳島藩の領地でした。「旧高旧領取調帳」には、32の村が記録されています。これらの村は、川田村、瀬詰村、桁山村、森藤村、山路村、麻植塚村、内原村、上浦村、中島村、牛島村、鴨島村、山田村、上下島村、敷地村、飯尾村、喜来村、西麻植村、桑村、児島村、宮ノ島村、川島町、学村、山崎村、三ツ島村、別枝山村、中村山村、三ツ木村、川井村、木屋平村、東山、川田山、種野山です。

明治4年

1871年（明治4年）7月14日、廃藩置県により徳島県（第1次）の管轄となりました。しかし、同年11月15日には第1次府県統合により名東県の管轄となります。その後、1876年（明治9年）8月21日には第2次府県統合によって高知県の管轄となりました。

明治12年

1879年（明治12年）1月4日、郡区町村編制法が高知県で施行され、行政区画としての麻植郡が発足しました。「阿波麻植郡役所」が川島町に設置され、阿波郡とともに管轄しました。この時の郡域は、現在の吉野川市の大部分（鴨島町知恵島、鴨島町知恵島番外、鴨島町牛島の一部を除く）と美馬市の一部（木屋平）にあたります。1880年（明治13年）3月2日には徳島県（第2次）の管轄に戻りました。

町村制以降の沿革

明治22年

1889年（明治22年）10月1日、町村制の施行により、以下の12の村が発足しました。特記がない場合は、現在の吉野川市にあたります。

牛島村：牛島村、上浦村、麻植塚村
森山村：森藤村、山路村、内原村、中島村の一部
鴨島村：喜来村、上下島村の一部、鴨島村、中島村の一部
西尾村：飯尾村、敷地村、西麻植村、上下島村の一部
桑川村：川島町、桑村、宮ノ島村、山田村、東山の一部
東山村：東山の大部分
学島村：学村、児島村、三ツ島村
山瀬村：山崎村、瀬詰村、川田村の一部
川田村：川田村の大部分
三山村：川田山、種野山、別枝山村の一部、桁山村の一部
中枝村：中村山村（現・吉野川市、美馬市）、別枝山村の一部、桁山村の一部（現・吉野川市）
木屋平村：木屋平村、川井村、三ツ木村（現・美馬市）

明治24年

1891年（明治24年）4月1日、郡制が施行されました。

明治30年

1907年（明治30年）10月1日、桑川村が町制を施行し、川島町に改称しました。（1町11村）

明治31年

1908年（明治31年）7月20日、鴨島村が町制を施行し、鴨島町となりました。（2町10村）

大正12年

1923年（大正12年）4月1日に郡会が廃止されましたが、郡役所は存続しました。同年5月5日には山瀬村が町制を施行し、山瀬町となりました。（3町9村）

大正15年

1926年（大正15年）7月1日、郡役所が廃止され、以降は地域区分名称となりました。

昭和3年

1928年（昭和3年）11月10日、川田村が町制を施行し、川田町となりました。（4町8村）

昭和29年

1954年（昭和29年）3月20日、牛島村が板野[[郡]]一条町の一部を編入しました。同年3月31日には、鴨島町、森山村、西尾村、牛島村が合併し、改めて鴨島町が発足しました。（4町5村）

昭和30年

1955年（昭和30年）1月1日、東山村の一部、中枝村の一部、三山村の一部が合併して美郷村が発足しました。山瀬町、川田町、三山村の残部が合併して山川町が発足しました。中枝村の残りは木屋平村に編入され、東山村の残りは鴨島町に編入されました。同年2月11日には、川島町と学島村が合併し、改めて川島町が発足しました。（3町2村）

昭和32年

1957年（昭和32年）3月31日、鴨島町が阿波郡柿島村の一部を編入しました。

昭和47年

1973年（昭和47年）7月1日、木屋平村の所属郡が美馬[[郡]]に変更されました。（3町1村）

平成16年

2004年（平成16年）10月1日、鴨島町、川島町、山川町、美郷村が合併して吉野川市が発足し、同日をもって麻植郡は消滅しました。これは徳島県内で初の郡消滅となりました。

行政

高知県阿波・麻植郡長

麻植郡の行政は、高知県の管轄下で郡長によって行われました。

脚注

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 36 徳島県、角川書店、1986年11月1日。ISBN 4040013603。
旧高旧領取調帳データベース

関連項目

* 消滅した郡の一覧

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