黄香

黄香について

黄香（こう こう、68年 - 122年）は、後漢中期に活躍した著名な政治家であり、文人でもあります。彼の名は、父親である黄況と共に江夏郡安陸県雲夢に由来しています。黄香は「二十四孝」として中国の孝子の中でも特に評価されており、その人生には数々の感動的なエピソードが存在します。

幼少期と母の死

黄香は、わずか9歳の時に母親を亡くしました。彼は母に対する深い思慕のため、服喪を続け、周囲の人々からその至孝ぶりが称賛されました。この姿勢は江夏太守の劉護の耳にも入り、12歳の時に郡の門下孝子として認められることになります。彼の家庭は貧しさに悩まされており、仕える者もいなかったため、黄香は自ら働きながら父を支え、同時に経典を学ぶなど、多才な青年へと成長していきました。

黄香の評判は次第に広まり、「天下無双の江夏の黄童」として知られるようになり、その名声は洛陽にまで届きました。

政界への進出

朝廷に招聘されて郎中に任じられた黄香は、84年には章帝の命を受けて東観に赴き、貴重な書物を読む権利を与えられます。この行では、彼は20歳の若さで千乗貞王の劉伉と出会い、章帝は彼を誇らしげに紹介しました。彼の政界での活動が進むにつれて、尚書郎に任命され、日々の政務に取り組む姿勢が評価されました。

和帝の時代に入ると、黄香は永元4年（92年）に左丞に昇進し、その後も著しい功績を挙げていきます。彼は常に公事と家庭の両方に対して思慮深い対応をしており、政務の得失に関しても的確な意見を述べていました。また、政務にあった際には、昼夜を問わず献身的に職務に取り組んでいたことでも知られています。

民を思いやる姿勢

黄香は、特に和帝の時代において、民の生活に対する深い配慮を見せました。永元12年（100年）には、卿仲遼という人物に対する妖言の罪で、連座した者たちの多くを救う審理を行い、その際に軽い量刑を求め、一般市民の命を守る手助けをしました。また、軍事と政事の両方を理解し調和させることで、効果的な政策を実施しました。

さらに、安帝の延光元年（122年）では魏郡太守として農事を守るための政策を提案し、大水害が発生した際には自らの俸禄や恩賞を分け与え、被災者の救済に尽力しました。そのような行動から、彼は民衆に深く慕われたことが記録されています。

死去とその影響

黄香は、数カ月後に自宅でその生涯を閉じることとなりますが、彼が遺した功績と逸話は多くの人に影響を与えることになりました。特に、彼の母親に対する孝行の姿勢は後に「扇枕温衾」として評価され、元代には郭居敬によって「二十四孝」の一つに数えられました。彼の著作には賦・牋・奏・書・令の五篇が残されています。

黄香の生涯は、孝と忠、そして深い思いやりに満ちており、後世に多くの教訓を与えるものでした。

もう一度検索