黒坂黒太郎

黒坂黒太郎

黒坂黒太郎（くろさか くろたろう、本名：黒坂正文）は、1949年6月22日生まれの日本の音楽家です。コカリナ（木製のオカリナ）の創始者として知られ、演奏家、作曲家、シンガーソングライターとしても幅広く活動しています。

来歴

長野県上田市で生まれた黒坂は、長野県上田高等学校を経て早稲田大学を卒業しました。大学在学中は早稲田大学合唱団に所属し、「広場と僕らと青空と」を作詞作曲しました。その後、高田馬場にあったライブハウス「うたの店十一時館」でシンガーソングライターとしての音楽活動をスタートさせました。

1974年には、水俣病の少女を歌った英語の歌「We Can Stand」を自主制作盤としてリリース。後にメジャー盤として再リリースされ、黒坂正文名義で活動しました。2枚のアルバムを発表後、民俗学者である宮本常一との出会いが転機となり、「文化は中央だけにあるものではない。地方を歩け」という言葉に感銘を受け、メジャー路線から退き、地方での活動に重点を置くようになります。

1981年に宮本常一が死去した際には、追悼コンサートに出演しました。その後、宮本の遺志を継ぎ、過疎の村や離島など地方を丹念に歩き、コンサート活動を継続しています。

1990年代には、ハンガリーの作曲家コダーイ・ゾルターンの音楽に惹かれ、ハンガリーを訪れます。1995年、ハンガリーの露店で売られていたコカリナを友人からプレゼントされたことをきっかけに、コカリナ探しの旅に出ました。帰国後、日本の木工家と共に楽器としての精度を高め、コカリナを日本に紹介しました。

1997年には、長野オリンピックの会場整備で伐採された木材からコカリナを製作し、オリンピック表彰式で児童とともに演奏しました。この活動は、鈴木ゆき江の児童文学『コカリナの海』のモデルにもなっています。さらに、広島で被爆した木からコカリナを誕生させ、2001年の国際平和シンポジウムで特別演奏を行いました。この「被爆樹コカリナ」の演奏はサントリーホールのラジオCMにも起用され、全日本コマーシャルコンクール（ACC賞）でジャーナリスト賞を受賞しました。

海外では、ウィーン楽友協会などで公演を行うなど、国際的にも活躍しています。

東日本大震災発生以降は、全国100カ所を目標に支援コンサートを展開し、被災した松の木をコカリナにして子ども達にプレゼントするなど、被災地支援に積極的に取り組んでいます。陸前高田市の「奇跡の一本松」の枝をコカリナに加工し演奏したり、新国立競技場建設のために伐採された神宮の森の木をコカリナにし、国立競技場周辺の小学校にプレゼントするなど、その活動は多岐にわたります。

2016年1月には、東京芸術劇場で開催された「コカリナ20周年コンサート」に上皇后美智子が来場し、会場でコカリナを演奏しました。

ディスコグラフィ

『翠嵐』（ベルウッド・レコード）2003/07/09発売
『ザ・コカリナ』 ～ウィーン楽友協会コカリナリサイタル帰国記念（キングレコード）2010/04/21発売
『希望のコカリナ』 ～よみがえった石巻アカマツの奇跡～（キングレコード）2012/09/05発売
『REBORN』コカリナwithヴァイオリン～高田松原の調べ（キングレコード）2013/07/24発売

著書

『コカリナ?森の精が宿る笛』講談社、2003/06/20
黒坂黒太郎・矢口周美『まま母狂想曲（カプリッチオ）』講談社、2004/06/23

表彰

2006年、新潟県中越地震被災地支援活動の功績で国土交通省より表彰。

外部リンク

「コカリナの世界にようこそ」黒坂黒太郎（正文）ホームページ
* 「日本コカリナ協会」公式ホームページ

黒坂黒太郎は、音楽活動を通じて、人々に希望と癒しを与え続けています。

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