黒沢哲哉

黒沢 哲哉（くろさわ てつや）は、1957年12月19日生まれの日本の漫画原作者、著作家、そして編集者です。東京都葛飾区に生まれ、早稲田大学第二文学部を卒業しています。その活動範囲は広く、特に昭和時代のサブカルチャーやコレクションに深く関わっていることで知られています。

若き日の活動と編集者としてのキャリア

大学時代はワセダミステリクラブに所属し、文筆活動を開始します。学生ながら雑誌『POPEYE』や『ぴあ』に映画紹介記事やコラムなどを執筆し、ライターとしての才能を示しました。1982年に勁文社に入社すると、「ケイブンシャの大百科」シリーズの編集に携わり、『全怪獣怪人大百科』など、当時の子供たちに絶大な人気を誇った書籍の制作を支えました。1984年に独立してからはフリーランスとして活動の場を広げ、多方面で活躍します。

「てつ麿」としてゲーム界に貢献

フリー転身後の1987年から1989年にかけて、『週刊少年ジャンプ』の人気企画「ファミコン神拳」に執筆者の一人として参加しました。「てつ麿」のペンネームで、多くの読者にゲームの攻略情報や魅力的な記事を届け、ファミコンブームの一翼を担いました。

多様なメディアでの編集長を務める

編集者としてのキャリアは多岐にわたります。1993年から1997年には、ミリタリーコミック専門誌『月刊コンバットコミック』（日本出版社）の編集長を務めました。また、2013年から2016年には、小学館クリエイティブとE★エブリスタが共同運営していたオンラインコミックサイト「少年エッジスタ」の編集長を担当。2016年からは小学館クリエイティブの書籍コミック部編集長に就任し、現在も第一線で活躍しています。

熱心なコレクターとしての顔

黒沢氏は、昭和時代の漫画や駄玩具に関する熱心なコレクターとしても知られています。その膨大なコレクションは、かつて書庫として借りていたアパートの床が抜けるほどだったという逸話が残るほどです。この蒐集活動は、彼の著述にも影響を与えており、昭和レトロに関する書籍を複数刊行しています。また、東京都柴又にあるおもちゃ博物館の名誉館長も務めており、コレクターとしての知識と情熱が高く評価されています。

著述活動と漫画原作

著作家としては、『ぼくらの60〜70年代宝箱』や『ぼくらの70〜80年代青春録』など、コレクターとしての視点を活かした昭和レトロ関連の単著があります。特に2017年に刊行された『全国版 あの日のエロ本自販機探訪記』は、日本各地に残るエロ本自販機やその設置業者を取材したルポルタージュで、多くのメディアで取り上げられ、話題となりました。共著書や、伝説的な「ケイブンシャの大百科」に関する編著書も複数手掛けています。

漫画原作者としては、里見桂氏と組んだ『タイムアンドアゲイン』や『HAIKARA事件帖』をはじめ、『プレイヤーは眠れない』（作画：正木秀尚）、『マジック・マスター』（作画：阿白宗可）、『龍のおんな』（作画：和気一作）など、様々なジャンルの作品を生み出しています。学習まんがの分野でも活躍しており、小学館版学習まんが人物館シリーズや、北杜夫原作の『コミック版 どくとるマンボウ昆虫記』のシナリオ、さらには『名探偵コナン歴史まんが 日本史探偵コナン』シリーズのシリーズ構成を担当するなど、多岐にわたる漫画作品に携わっています。また、編集者として手塚治虫作品の復刻版の作品解説なども手がけており、2009年からは手塚治虫公式サイトでコラムの連載も続けています。

漫画原作者、著作家、編集者、そして情熱的なコレクターとして、黒沢哲哉氏は昭和から現代にかけての日本のサブカルチャーシーンにおいて、ユニークな視点と深い知識をもって貢献し続けている人物です。

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