鼻節神社

鼻節神社の概要

鼻節神社（はなぶしじんじゃ）は、宮城県宮城郡七ヶ浜町にある神社であり、式内社で名神大社に分類されています。ここは松島湾と仙台湾を分ける七ヶ浜半島の最東端、仙台湾に面した垂水山の高台に鎮座しています。海上安全を祈念する神社として、航路の守護神として長い間信仰されてきました。

祭神とその由来

この神社の祭神は猿田彦命（さるたひこのみこと）で、岐神（ふなどのかみ）ともされています。1738年に記された『鼻節大明神の御縁起』によると、神社の名前は猿田彦の高い鼻とその形状に由来しているといいます。この説は『鹽社由来追考』や『鹽竈社神籍』でも確認され、猿田彦命と塩土老翁が同一の神であるとされています。

また、神社の隣接地域にある吉田神社の祭神は天宇受売命で、夫婦神ともされており、この二社はそれぞれの信仰の深さを物語っています。

一方で、祭神に関して異説も存在し、1733年に完成した『神名帳考証』では木花開耶姫や埴安神が祭神とされています。鼻を花、節を泥（うき）の音と考え、木花開耶姫や埴安神に関連づけたとされています。『日本風土記』では多力雄神が祭神とされるなど、歴史的にも多様性のある信仰が見られます。

歴史

社伝によると、鼻節神社は神代から存在し、孝安天皇の時代に「ほうが崎」に創建されたとされています。それから数世代を経て、風の強さから社殿が度々破損したため、現在の垂水山に移転されたと伝えられています。

同じく『続日本後紀』では、844年に霊験があり無位から従五位下に神階が授けられたと記されています。927年には『延喜式神名帳』に名神大社として登録され、その名声は平安時代にまで広がります。

鎌倉時代には、源頼朝から任命された伊沢家景が陸奥留守職に就くことにより、leave氏が当社を管理するようになります。その後、社殿の造営や祭事が盛んに行われ、護持されてきました。しかし多賀国府の名声が衰え、当社も次第に衰運を辿ることになります。江戸時代初期には鹽竈神社の末社とされるようになりました。

明治に入ると、社殿の修復が行われ、当時の国府厨印が発見されるなど、地域の重要な文化財としての地位も確立されました。1872年には村社に昇格し、その後も地域の信仰を集めてきました。

境内と文化財

鼻節神社の境内には、八幡神社、大根神社、山神社、三月田稲荷神社、天神社といった摂末社が存在し、それぞれの祭神が祀られています。特に大根神社は、沖合いにある海底の大根岩を境内とする珍しい神社であり、海の神々も信仰されています。

江戸時代末期には『しちがはま祭事記』に基づいた神事「大根明神祭」が行われ，地元の漁業と密接に関連した行事として定着しています。また、明治元年に発見された国府厨印は、当神社の重要な文化財として多賀城に関連する歴史を物語っています。

現在の状況

近年では、仙台・宮城デスティネーションキャンペーンに合わせ、観光地としてのプロモーションも行われ、多くの参拝客が訪れています。特に、人気の漫画やアニメとの関連で訪問者が急増し、広く知られるようになりました。

このように、鼻節神社は地域の歴史や文化を映し出す重要な神社として、今なお多くの人々に親しまれ、信仰を集め続けています。

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