龍興寺 (下野市)

龍興寺の概要

栃木県下野市にある龍興寺（りゅうこうじ）は、真言宗智山派に属する寺院です。この寺は下野薬師寺の南に建立され、同寺の別院とされています。寺の歴史によると、奈良時代の天平宝字5年（761年）に、中国からの僧侶鑑真が唐の龍興寺から法を受け継ぎ、「生雲山龍興寺」として開基したと伝えられています。

また、龍興寺は歴史的にも興味深い経緯を持ち、かつては薬師寺地蔵院から流れを汲む存在でもあります。近世においては、佐竹氏から寺領20石を寄進され、さらに薬師寺の遺跡上に建立された安国寺との間で、薬師寺の正統性を巡る訴訟が天和元年（1681年）から享保4年（1719年）まで繰り広げられました。最終的には、天保9年（1838年）に「安国寺は戒壇、龍興寺は鑑真の墓所を守る」との合意が形成され、現在に至るまでこの関係が続いています。

境内には、道鏡の墓として知られる直径約38メートルの円墳「道鏡塚」があり、これは6世紀末に作られたと考えられており、道鏡の追葬が行われたとの伝承があります。この古墳は下野市の指定史跡となっています。また、境内の北側には「鑑真和尚碑」が立っており、これは鑑真の弟子によって建立された供養碑であり、碑の前に立つ菩提樹は鑑真の杖から根付いたとされています。この碑も下野市の指定史跡です。

文化財について

龍興寺には多くの文化財が存在します。栃木県指定の文化財には、有形文化財の「銅造 誕生釈迦仏立像」があり、この彫刻は平成3年（1991年）2月19日に指定されました。また、天然記念物の「龍興寺のシラカシ」は平成元年（1989年）8月25日に指定されています。

下野市の指定文化財においては、史跡として「道鏡塚」と「鑑真和尚之碑」が共に昭和62年（1987年）2月16日に指定されています。

アクセスと周辺情報

龍興寺の所在地は栃木県下野市薬師寺1416で、交通アクセスはJR宇都宮線の自治医大駅から徒歩で約30分（約2.5km）、または小金井駅から約5.0kmの距離にあり、レンタサイクルも可能です。

周辺には下野薬師寺跡、下野薬師寺歴史館、安国寺（下野薬師寺の後継寺院）、および薬師寺八幡宮（下野薬師寺の鎮守）などの観光名所があります。これらの施設と合わせて訪れることで、地域の歴史と文化をより深く理解することができるでしょう。

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