.int

.intドメイン

.int（イント）は、インターネット上で使用されるドメイン名の一つで、ジェネリックトップレベルドメイン（gTLD）に分類されるスポンサー付きトップレベルドメインです。その名称は「international」（国際的な）に由来しており、主に国際的な組織や、複数の国家間条約に関連する機関のために使用されることが目的とされています。このドメインが初めて割り当てられたのは、北大西洋条約機構（NATO）であり、それ以前に使用されていた.natoドメインから移行しました。

厳格な取得資格

.intドメインの取得には、非常に厳格な基準が設けられています。Internet Assigned Numbers Authority（IANA）がRFC 1591に基づいて定めるポリシーにより、このドメインは国際条約に基づいて設立された組織、国際連合（UN）の機関、およびUN総会においてオブザーバー資格を持つ組織のために確保されています。このドメインが、その利用主体が国際法の対象であること、すなわち独立した国際的な法的地位を有することを示すため、他のどのトップレベルドメインよりも厳しい申請手続きと資格審査が課されると考えられています。申請時には、実際に条約に基づいて設立された組織であり、独立した法的地位を持っていることを証明するために、国際連合の条約登録番号などの提示が求められます。

割り当ての状況と事例

2012年6月時点では、世界全体で166個の.intドメインが発行されていました。過去の割り当て事例やその変遷にはいくつかの注目すべき点があります。

欧州連合（EU）およびその関連機関は、かつて.eu.intというドメインを使用していましたが、2006年5月9日の「ヨーロッパ・デー」に合わせて、新しいトップレベルドメインである.euへの移行を完了しました。旧ドメインである.eu.intは、移行期間として少なくとも1年間はアクセス可能でした。ただし、2017年時点の情報によれば、欧州中央銀行（ECB）のような一部の機関は、主要なドメインをecb.euとする傍ら、ecb.intドメインを主に電子メール用途で継続して使用している事例も見られます。

また、基準の適用に関する興味深い事例として、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約（POPS）が挙げられます。この条約に基づき設立された組織は、当初、条約自体に国際法の主体であることが明示的に定められていないという理由で.intドメインの取得を一度拒否されました。しかし、IANAの再審査委員会に訴え出た結果、POPSと同様に特定の言語が欠けている他の条約関連組織が既にドメインを取得している前例があることなどを理由に、最終的にpops.intドメインを取得することが承認されました。この承認にあたり、委員会は、当該条約が(1)将来的に発効する可能性が極めて高いことによって設立された組織であるとみなせること、(2)法的実績はないものの、独立した国際的な法人としての要件を満たすと判断されること、の二点を考慮しました。なお、この割り当ては、条約が登録から4年以内に発効しなかった場合には、その適格性が再評価されるという条件付きでした。

インターネットインフラ用途としての歴史

.intドメインは、その初期にはインターネットのインフラ関連データベースとしての利用も検討されていました。具体的には、現在もインフラ用途で利用されている.arpaドメインに含まれる情報を将来的に.intへ移行する計画が存在しました。しかし、2000年にInternet Architecture Board（IAB）が.arpaドメインを今後も継続して使用し、新たなインフラ用データベースを.intドメインに配置しないことを提言したため、この移行計画は実現しませんでした。インフラ用途での利用例として最後まで残っていたのが、IPv6アドレスの逆引き検索に使用される.ip6.intドメインでしたが、これも2006年6月1日をもって廃止され、対応する.ip6.arpaドメインへ移行しました。

既得権益の存在

.intドメインの割り当てに関する現在の厳格なガイドラインが適用される以前の、比較的緩やかな基準が用いられていた時期には、現行のガイドラインでは許可されないような組織に対してもドメインが割り当てられていました。例えば、キリスト教青年会（YMCA）は、1990年代初頭に適用されていた基準に基づいて.intドメインを取得しました。IANAは、現在の基準を満たさないYMCAやThe Phone Companyといった組織に対しても、既に割り当てられたドメインを遡って撤回することは行っていません。

このドメインに関する詳細は、IANAの公式ウェブサイトなどで確認することができます。厳格な取得資格は、.intが単なるドメイン名以上の意味合いを持ち、国際社会における特定の法的地位を示すものであることを物語っています。

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