10円メール

10円メールとは

10円メールは、NTTドコモが開発し、GMOインターネット（旧マスターネット）が運営していた携帯電話向けのEメールサービスです。その名の由来は、携帯電話を使ったメールの送受信が2キロバイトまで10円という低価格で利用できたことにあります。1997年5月1日にサービスが開始され、メールアドレスのドメイン名にはマスターネットが所有する「mnx.ne.jp」が使用されました。

サービス開始の背景と技術

サービス開始以前にも、DDIポケットのPメールやIDOのプチメールといったショートメッセージサービス（SMS）が存在しましたが、これらは携帯電話・PHS間でのみ利用可能でした。10円メールは、携帯電話と一般的なインターネットメールとの送受信を可能にした画期的なサービスでした。

当時の携帯電話の通信料は16秒10円程度でしたが、当時の通信環境では、16秒以内に携帯電話をパソコンと接続し、ISPに接続、認証を行い、メールサーバーを確認してメールをダウンロードすることは困難でした。特に、認証に時間がかかっていたことが大きな課題でした。

そこで、10円メールは、携帯電話の発信者番号通知を元に、携帯電話がアクセスポイントに接続する前に仮の認証を行うという独自の技術を導入しました。これにより、認証時間を短縮し、メールの送受信もセッションが確立する前にサーバー側で準備することで、12秒以内に2キロバイト（約1000文字）のメール送受信を可能にしました。

サービスの発展と関連端末

サービス開始当初は、パソコンとNTTドコモのデータ通信カードを使って利用されていましたが、その後、モバイルZやポケットボードといった安価なメール端末が登場し、サービスは広く普及しました。これらの端末は、手軽にメールを利用できることから、10円メールの人気をさらに高めました。

主な10円メール対応端末

ポケットボードシリーズ（シチズン製、シャープ製）
パクティー（シチズン製）
ピーターパン（松下通信工業製）
ディアロ（東芝製）
モエムD（三菱電機製）
モバイルギアシリーズ（NEC製）
シグマリオンシリーズ（NEC製モバイルギアのドコモ向けOEM品）
ブラウザボード（シャープ製）
カラーブラウザボード（セイコー製）
DataScope for DoCoMo（京セラ製）
リブレットモバイルパック（東芝製）
モバイルZ（シャープ製ザウルスのドコモ向けOEM品）
1998年以降発売のザウルス（接続ソフトプリインストール機種）

サービス終了

その後、iモードやスマートフォンの普及により、携帯電話端末のみで安価にメールの送受信ができるようになったため、2008年2月に10円メールを含むマスターネットの全てのサービスは終了しました。


法人向けには、同様の機能を持ったサービスとしてMM-QUBEが存在していました。

関連情報

iモードメール
パルディオEメール
mopera

外部リンク

* ZERO

もう一度検索