12人の浮かれる男
『12人の浮かれる男』（じゅうににんのうかれるおとこ）は、筒井康隆による戯曲であり、同名の戯曲集の表題作です。この作品は、シドニー・ルメット監督の映画『十二人の怒れる男』をパロディとして、またオマージュとして書かれました。初出は雑誌『GORO』に掲載された小説形式でしたが、後に舞台公演のために戯曲形式へと改められました。
筒井康隆は、戯曲集『筒井康隆劇場 12人の浮かれる男』のあとがきで、『十二人の怒れる男』が映画であり、舞台化もされていることを踏まえ、小説版は今後の単行本に収録する予定はないと述べています。
『12人の浮かれる男』は、「もし日本に陪審員制度が復活したら」という架空の設定のもと、法廷を舞台にした喜劇です。原作である『十二人の怒れる男』では、有罪が濃厚な少年の裁判で、陪審員たちが証拠の疑わしい点を丁寧に検証し、最終的に無罪判決を下します。しかし、『12人の浮かれる男』では、ほぼ無罪が確実な被告に対し、12人の陪審員がこじつけと勢いで有罪にしてしまうという、対照的な展開が繰り広げられます。
陪審員制度が復活した日本で、最初の裁判が行われます。父親殺害の容疑で起訴された被告には完璧なアリバイがあり、弁護士の熱弁も被告の無実を強く示唆していました。そのため、陪審員たちは最初から無罪評決を出すつもりでいました。
しかし、陪審員控室で、陪審員4号が「復活第一回目の陪審員制度だから、マスコミも注目している。無罪では面白くないから有罪にしよう」と提案したことで、事態は急変します。他の陪審員たちは、これに同調し、事件の粗探しを始めます。彼らは、支離滅裂な理屈と勢いで、被告のアリバイを覆そうとします。当初、無罪票を投じていた陪審員10号も、2年前に起こした汚職を陪審員6号に指摘され、やむなく有罪票に転じます。
その結果、全員一致で有罪評決が出され、陪審員たちは「良かった、良かった」と満足げに控室を後にします。
陪審員1号：私鉄の駅員で、陪審員のリーダー。
陪審員2号：内科医。
陪審員3号：生命保険会社の課長補佐。
陪審員4号：喫茶店の経営者。
陪審員5号：銀行員。
陪審員6号：教材の卸売業者。
陪審員7号：商事会社の社員。
陪審員8号：タバコ屋の店主。
陪審員9号：ガソリンスタンドの店員。
陪審員10号：小学校の教頭。
陪審員11号：理髪店の店主。
陪審員12号：小柄な聾唖の男性。
『12人の浮かれる男』は、以下の書籍に収録されています。
『筒井康隆劇場 12人の浮かれる男』
「情報」、「改札口」、「将軍が目醒めた時」、「スタア」などの戯曲とともに収録。
あとがき、各戯曲の初演記録、川和孝による解説も掲載。
新潮社より1979年2月10日に刊行（ISBN 978-4103145080）。
新潮文庫版は1985年10月25日刊行（ISBN 978-4101171180）。
『筒井康隆全集 第19巻 12人の浮かれる男・エディプスの恋人』
「ヒノマル酒場」、「発明後のパターン」、「善猫メダル」、「前世」、「逆流」、「死にかた」、「こぶ天才」、「裏小倉」、「上下左右」、「三人娘」、「廃塾令」、「ポルノ惑星のサルモネラ人間」、「エディプスの恋人」などとともに収録。
内藤誠による解説も掲載。
新潮社より1984年10月に刊行。
『12人の浮かれる男』は、筒井康隆大一座や劇団ムーンライトなどによって、これまで複数回舞台化されています。
筒井康隆大一座
エー・アンド・ピーによるプロデュース公演として、以下の公演が行われました。
1978年
公演期間：1978年9月8日～9月13日
会場：三百人劇場
演出：川和孝
出演：入川保則、岩崎信忠、千葉順二（11号）、納谷六朗、筈見純、奥村公延（8号）、他
1980年
公演期間：1980年8月25日～8月28日
会場：紀伊國屋ホール
演出：川和孝
出演：千田隼生（1号）、篠原大作（2号）、阪脩（3号）、納谷悟朗（4号）、松田章（5号）、岩崎信忠（6号）、納谷六朗（7号）、里木佐甫良（8号）、村山明（9号）、筈見純（10号）、千葉順二（11号）、中野順二（12号）
1985年
公演期間：1985年2月4日～2月24日
会場：博品館劇場
演出：川和孝
出演：千田隼生（1号）、篠原大作（2号）、磯秀明（3号）、阪脩（4号）、山崎哲也（5号）、納谷悟朗（6号）、納谷六朗（7号）、沢りつお（8号）、村山明（9号）、筈見純（10号）、千葉順二（11号）、佐々木義高（12号）
劇団ムーンライト
劇団ムーンライトは、「男性版」と出演者を女性に置き換えた「女性版」を上演しました。
2003年
公演期間：2003年6月12日～6月15日
会場：新宿スペース107
演出：野沢雅子
出演者：
男性版：上田恭司（1号）、三和精（2号）、大内貴弘（3号）、宮下道央（4号）、吉浦久司（5号）、熊岡正浩（6号）、中村良（7号）、三次文知（8号）、阪田智靖（9号）、仁古泰（10号）、山崎剛（11号）、丸山幸一（12号）
* 女性版：梅村恵子（1号）、祝龍実（2号）、白川浪子（3号）、宮地貴子（4号）、和田みちる（5号）、小田真由美（6号）、水沢史絵（7号）、杉田七重（8号）、市村奈絵（9号）、岩本里夏（10号）、隠岐めぐみ（11号）、野村佳代（12号）
『12人の浮かれる男』は、筒井康隆のユーモアと社会風刺が込められた作品として、現在も多くの観客に楽しまれています。
筒井康隆は、戯曲集『筒井康隆劇場 12人の浮かれる男』のあとがきで、『十二人の怒れる男』が映画であり、舞台化もされていることを踏まえ、小説版は今後の単行本に収録する予定はないと述べています。
作品の概要
『12人の浮かれる男』は、「もし日本に陪審員制度が復活したら」という架空の設定のもと、法廷を舞台にした喜劇です。原作である『十二人の怒れる男』では、有罪が濃厚な少年の裁判で、陪審員たちが証拠の疑わしい点を丁寧に検証し、最終的に無罪判決を下します。しかし、『12人の浮かれる男』では、ほぼ無罪が確実な被告に対し、12人の陪審員がこじつけと勢いで有罪にしてしまうという、対照的な展開が繰り広げられます。
あらすじ
陪審員制度が復活した日本で、最初の裁判が行われます。父親殺害の容疑で起訴された被告には完璧なアリバイがあり、弁護士の熱弁も被告の無実を強く示唆していました。そのため、陪審員たちは最初から無罪評決を出すつもりでいました。
しかし、陪審員控室で、陪審員4号が「復活第一回目の陪審員制度だから、マスコミも注目している。無罪では面白くないから有罪にしよう」と提案したことで、事態は急変します。他の陪審員たちは、これに同調し、事件の粗探しを始めます。彼らは、支離滅裂な理屈と勢いで、被告のアリバイを覆そうとします。当初、無罪票を投じていた陪審員10号も、2年前に起こした汚職を陪審員6号に指摘され、やむなく有罪票に転じます。
その結果、全員一致で有罪評決が出され、陪審員たちは「良かった、良かった」と満足げに控室を後にします。
登場人物
陪審員1号：私鉄の駅員で、陪審員のリーダー。
陪審員2号：内科医。
陪審員3号：生命保険会社の課長補佐。
陪審員4号：喫茶店の経営者。
陪審員5号：銀行員。
陪審員6号：教材の卸売業者。
陪審員7号：商事会社の社員。
陪審員8号：タバコ屋の店主。
陪審員9号：ガソリンスタンドの店員。
陪審員10号：小学校の教頭。
陪審員11号：理髪店の店主。
陪審員12号：小柄な聾唖の男性。
書籍
『12人の浮かれる男』は、以下の書籍に収録されています。
『筒井康隆劇場 12人の浮かれる男』
「情報」、「改札口」、「将軍が目醒めた時」、「スタア」などの戯曲とともに収録。
あとがき、各戯曲の初演記録、川和孝による解説も掲載。
新潮社より1979年2月10日に刊行（ISBN 978-4103145080）。
新潮文庫版は1985年10月25日刊行（ISBN 978-4101171180）。
『筒井康隆全集 第19巻 12人の浮かれる男・エディプスの恋人』
「ヒノマル酒場」、「発明後のパターン」、「善猫メダル」、「前世」、「逆流」、「死にかた」、「こぶ天才」、「裏小倉」、「上下左右」、「三人娘」、「廃塾令」、「ポルノ惑星のサルモネラ人間」、「エディプスの恋人」などとともに収録。
内藤誠による解説も掲載。
新潮社より1984年10月に刊行。
劇場公演
『12人の浮かれる男』は、筒井康隆大一座や劇団ムーンライトなどによって、これまで複数回舞台化されています。
筒井康隆大一座
エー・アンド・ピーによるプロデュース公演として、以下の公演が行われました。
1978年
公演期間：1978年9月8日～9月13日
会場：三百人劇場
演出：川和孝
出演：入川保則、岩崎信忠、千葉順二（11号）、納谷六朗、筈見純、奥村公延（8号）、他
1980年
公演期間：1980年8月25日～8月28日
会場：紀伊國屋ホール
演出：川和孝
出演：千田隼生（1号）、篠原大作（2号）、阪脩（3号）、納谷悟朗（4号）、松田章（5号）、岩崎信忠（6号）、納谷六朗（7号）、里木佐甫良（8号）、村山明（9号）、筈見純（10号）、千葉順二（11号）、中野順二（12号）
1985年
公演期間：1985年2月4日～2月24日
会場：博品館劇場
演出：川和孝
出演：千田隼生（1号）、篠原大作（2号）、磯秀明（3号）、阪脩（4号）、山崎哲也（5号）、納谷悟朗（6号）、納谷六朗（7号）、沢りつお（8号）、村山明（9号）、筈見純（10号）、千葉順二（11号）、佐々木義高（12号）
劇団ムーンライト
劇団ムーンライトは、「男性版」と出演者を女性に置き換えた「女性版」を上演しました。
2003年
公演期間：2003年6月12日～6月15日
会場：新宿スペース107
演出：野沢雅子
出演者：
男性版：上田恭司（1号）、三和精（2号）、大内貴弘（3号）、宮下道央（4号）、吉浦久司（5号）、熊岡正浩（6号）、中村良（7号）、三次文知（8号）、阪田智靖（9号）、仁古泰（10号）、山崎剛（11号）、丸山幸一（12号）
* 女性版：梅村恵子（1号）、祝龍実（2号）、白川浪子（3号）、宮地貴子（4号）、和田みちる（5号）、小田真由美（6号）、水沢史絵（7号）、杉田七重（8号）、市村奈絵（9号）、岩本里夏（10号）、隠岐めぐみ（11号）、野村佳代（12号）
『12人の浮かれる男』は、筒井康隆のユーモアと社会風刺が込められた作品として、現在も多くの観客に楽しまれています。
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