127フィルム

127フィルム：歴史と多様なフォーマット

127フィルムは、スチル写真用のロールフィルム規格の一つです。その特徴は、46mm幅のフィルムに遮光用の裏紙が付き、「スタートマーク」と「コマナンバー」が印刷されている点です。このフィルムは、様々な画面サイズに対応しており、代表的なものとして、4×6.5cm判（ベスト判）で8枚撮り、正方形の4×4cm判（ヨンヨン判）で12枚撮り、4×3cm判（ベスト半裁）で16枚撮りなどがあります。

誕生と普及

127フィルムは、1912年にコダックが「ヴェスト・ポケット・コダック」カメラとともに発表しました。このカメラは、蛇腹式で折りたたむことができ、チョッキのポケットに入るほど小型であったため、「ヴェスト（チョッキ）ポケット」という名前が付けられました。このカメラとフィルムは安価であったこともあり、1926年まで爆発的に売れ、数百万台が製造されました。このカメラの登場により、4×6.5cm判は「ベスト判」と呼ばれるようになりました。また、127フィルムは、1914年に発売された「No.0ブローニー」にも採用され、コダック以外のメーカーでも使用されるようになりました。

日本での展開

日本でも、127フィルムを使用したカメラが製造されました。例えば、ミノルタの最初の市販カメラである「ニフカレッテ」（1929年発売）や、リコーの最初の市販カメラである「オリンピックA型」（1934年発売）などが挙げられます。これらのカメラは、それぞれ4×6.5cm判や4×3cm判に対応していました。コダックは、ブローニーラインの筐体をベークライト製にしてさらに簡易化した「ベビーブローニー」を1934年に発売しました。

135フィルムの台頭と衰退

1925年には、映画用35mmフィルムを写真に流用した「ライカ」が登場しましたが、1934年にコダックが暗室での装填が不要なパトローネ入りの「135フィルム」と新型カメラ「レチナ」を発売すると、135フィルムが急速に普及しました。135フィルムは、小型化が進み、1950年代以降には写真用フィルムの標準規格となり、127フィルムは市場から駆逐されていきました。しかし、1960年代にかけては、ローライ、アグフア、ミノルタ、リコー、ヤシカなどの企業が127フィルムを使用するカメラを製造し続けました。127フィルムは1995年7月にコダックによる製造が終了しました。

現在の状況

現在では、127フィルムの製造は限られていますが、一部のメーカーが白黒リバーサルフィルムやカラーネガフィルム、カラーリバーサルフィルムなどを製造・販売しています。例えば、クロアチアのフォトケミカ・ノヴァは「エフケR100/127」、ドイツのマコは「ローライナイトバード127」と「ローライクロスバード127」、カナダのブルーファイア・ラボラトリーズは「ブルーファイア・ムラノ160」をそれぞれ製造・販売しています。

主なフィルム製品

現在販売されている127フィルムの主な製品は以下の通りです。

エフケR100/127 - フォトケミカ・ノヴァ、白黒リバーサルフィルム、ISO100
エフケIR820/127 - フォトケミカ・ノヴァ、白黒リバーサル赤外線フィルム、ISO100
ローライナイトバード800/127 - マコ、レッドスケールカラーネガフィルム、ISO800
ローライクロスバード200/127 - マコ、カラーリバーサルフィルム、ISO200
ローライレトロ80S/127 - マコ（アグフア・ゲバルト）、白黒ネガフィルム、ISO80
ブルーファイア・ムラノ160 - ブルーファイア・ラボラトリーズ、カラーリバーサルフィルム、ISO160

過去に製造されていた主な127フィルムは以下の通りです。

ヴェリクロームパン/127 - コダック、白黒リバーサルフィルム
コダクローム/127 - コダック、カラーリバーサルフィルム
コダカラーX/127 - コダック、カラーネガフィルム
エクタクローム/127 - コダック、カラーリバーサルフィルム、1995年終了
イルフォードHP3/127 - イルフォード、白黒ネガフィルム
マコUP100 - マコ、白黒リバーサルフィルム、ISO100
マコカラーUCN200 - マコ、カラーネガフィルム、ISO200
ORWO NP20/127 - ORWO、白黒ネガフィルム、ISO20

主なカメラ

127フィルムを使用する主なカメラメーカーは以下の通りです。

アンスコ
コンテッサ・ネッテル
イハゲー
イルフォード
カメラ・ウェルクシュテーテン
コダック
六櫻社
興和
メントール
ミノルタ
丸惣
美篶商会
ナーゲル
プラウベル
リコー
ローデンストック
ローライ
東京光学
ウェルタ・カメラヴェルク
ヤシカ
* ツァイス・イコン

これらのカメラは、1960年代後半までに製造が終了しています。

まとめ

127フィルムは、かつては非常に人気があったものの、135フィルムの普及とともに衰退した規格です。しかし、現在でも一部のメーカーによって製造が続けられており、その独特なフォーマットや歴史的背景から、一部の写真愛好家から支持されています。特に、ローライフレックスのような二眼レフで127判を利用したモデルは人気が高いです。

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