1914年のメジャーリーグベースボール

1914年のメジャーリーグベースボール：激動と奇跡の年

1914年のメジャーリーグベースボール（MLB）は、様々な出来事が重なり、球史に残る1年となりました。ボストン・ブレーブスの奇跡的なワールドシリーズ制覇、タイ・カッブの首位打者争い、ベーブ・ルースのデビュー、そして選手組合の権利を巡る動きやフェデラル・リーグの参入など、多岐にわたるトピックがありました。

ミラクル・ブレーブスの誕生

ナショナル・リーグでは、ボストン・ブレーブスが奇跡的な快進撃を見せました。シーズン前半は最下位に低迷していたブレーブスでしたが、ジョージ・ストーリングス監督の采配と、レスリー・マン、ジョー・コノリー、ジョニー・エバースらの補強が功を奏し、後半戦で驚異的な追い上げを見せました。投手陣もデイック・ルドルフ、ビル・ジェームズ、レフティー・タイラーらが安定した投球を披露し、8月には首位に並び、最終的にリーグ優勝を果たしました。

ワールドシリーズでは、下馬評を覆し、アメリカン・リーグを制したフィラデルフィア・アスレチックスを4連勝で破り、初のワールドシリーズ制覇を成し遂げました。この年のブレーブスの活躍は「ミラクル・ブレーブス」「ボストンの奇跡」として語り継がれています。

アメリカン・リーグの動向

アメリカン・リーグでは、フィラデルフィア・アスレチックスが2年連続6度目のリーグ優勝を果たしました。ボストン・レッドソックスも健闘しましたが、アスレチックスの勢いを止めることはできませんでした。

レッドソックスのダッチ・レナードは、シーズン防御率0.96という驚異的な記録を達成しました。これは現在もメジャーリーグ史上最高のシーズン防御率として記録されています。

タイ・カッブの首位打者

タイ・カッブは、打率.368で8年連続の首位打者を獲得しました。しかし、シーズン中に肋骨と右親指を骨折し、出場試合数は98試合にとどまりました。当時の規定では、首位打者の資格を得るための出場試合数や打席数に関する明確なルールがなく、カッブの首位打者獲得は議論の余地を残しました。その後、MLBは首位打者の資格に関する規定を改正し、最低打席数を設けることになりました。

ベーブ・ルースのデビュー

この年の2月、ベーブ・ルースはボルチモア・オリオールズと契約し、その後ボストン・レッドソックスにトレードされ、メジャーデビューを果たしました。1914年のルースは、投手として5試合に出場し、10打数2安打、2打点、本塁打0という成績でした。まだ打者としての才能は開花していませんでしたが、この年が伝説の始まりとなりました。

選手組合の闘争とフェデラル・リーグ

1914年は、選手組合の権利を巡る動きが活発化した年でもありました。フェデラル・リーグが誕生し、両リーグの選手を引き抜く動きが加速したことで、選手たちは球団との交渉力を高めました。選手組合は、待遇改善を求める17項目の要求を球団経営者に突き付け、そのうち11項目について実行を約束させることに成功しました。しかし、翌年のフェデラル・リーグ解体とともに選手組合も弱体化し、選手を球団が保有する権利に関する問題は、その後も長く続くことになりました。

フェデラル・リーグは、8球団でメジャーリーグとして最初のシーズンを迎えましたが、両リーグとの対立は解消されず、3リーグによるワールドシリーズ開催の申し入れも黙殺されました。

その他の出来事

6月9日、ホーナス・ワグナーが史上2人目の3000本安打を達成。
9月27日、ナップ・ラジョイが史上3人目の3000本安打を達成。

1914年は、MLBにとって激動の年であり、その後の歴史に大きな影響を与える出来事が数多く起こりました。ブレーブスの奇跡、カッブの首位打者、ルースのデビュー、選手組合の闘争、フェデラル・リーグの参入など、様々な要素が絡み合い、MLBの歴史を彩る1年となりました。

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