1923年の音楽

1923年の音楽動向

1923年（大正12年）は、世界の音楽シーンにおいて重要な出来事が数多くありました。クラシック音楽の分野では、シベリウスの「交響曲第6番」やプロコフィエフの「ヴァイオリン協奏曲第1番」といった重要な作品が初演され、聴衆に新たな感動を与えました。また、バルトークの「舞踏組曲」も初演され、その革新的な音楽性が注目を集めました。

世界の音楽出版

1923年には、様々なジャンルの楽曲が出版され、音楽文化の発展に貢献しました。アーヴィング・バーリンの「どうしたらいいの」、エディー・カンターの「イエス・ウィー・ハブ・ノー・バナナ」といったポピュラー音楽が人気を博した一方で、レイフ・ヴォーン・ウィリアムズの「イギリス民謡組曲」や「海の歌」といった民族音楽を取り入れた作品も高く評価されました。ストラヴィンスキーの「結婚」、ミャスコフスキーとシベリウスの「交響曲第6番」、プロコフィエフの「五重奏曲」、コルンゴルトの「左手のためのピアノ協奏曲」、オネゲルの「パシフィック231」などもこの年に出版されています。

日本の音楽出版

日本の音楽界も活発な動きを見せました。「嗚呼黎明」「青山ほとり」といった楽曲のほか、北原白秋と山田耕筰による「あわて床屋」、海野厚と小田島樹人による「おもちゃのマーチ」、西條八十と中山晋平による「肩たたき」、海野厚と中山晋平による「背くらべ」といった童謡が生まれ、子供たちの間で広く親しまれました。また、「金沢市歌」や「東京市歌」といった都市の歌も制作され、地域社会の連帯感を高める役割を果たしました。中村雨紅と草川信による「夕焼小焼」は、今日に至るまで歌い継がれる名曲として、多くの人々に愛されています。

新たな楽団の結成

1923年には、多くのオーケストラや音楽団体が結成され、音楽文化の裾野を広げました。MDR交響楽団、Osaka Shion Wind Orchestra、サンフランシスコ・オペラ、ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団、ベオグラード・フィルハーモニー管弦楽団、ベルリン放送交響楽団、ポートランド交響楽団、明治大学交響楽団、明治大学マンドリン倶楽部、立教大学グリークラブなどが設立され、クラシック音楽、吹奏楽、オペラなど、様々なジャンルの音楽活動が活発化しました。

音楽家の誕生と死

1923年には、後に音楽史に名を残す多くの音楽家が誕生しました。ミルト・ジャクソン（ジャズ・ビブラフォン奏者）、ダニイル・シャフラン（チェリスト）、リゲティ・ジェルジュ（作曲家）、中田喜直（作曲家）、岩河三郎（作曲家）などがこの年に生まれています。彼らは、それぞれの分野で独自の音楽性を追求し、後世に大きな影響を与えました。一方で、ヘロニモ・ヒメネス、ドーラ・ペヤチェヴィチといった作曲家がこの世を去り、音楽界は才能ある音楽家を失いました。

1923年は、音楽の多様性と創造性が大きく開花した年と言えるでしょう。新たな才能の誕生、重要な作品の発表、そして音楽団体の設立は、その後の音楽史に大きな影響を与えました。

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