1929年の音楽

1929年の音楽

1929年（昭和4年）は、音楽の世界において多様な動きが見られた年でした。ブルース、ポピュラー音楽、クラシック音楽、そして日本における歌謡曲や童謡など、様々なジャンルで新たな才能が開花し、重要な作品が発表されました。

ブルースの隆盛

この年、ブルース界では重要な出来事が相次ぎました。チャーリー・パットンが音楽キャリアをスタートさせ、Tボーン・ウォーカーとメンフィス・ミニーがレコーディングキャリアを開始しました。彼らの音楽は、後のブルースに大きな影響を与えることになります。また、ベッシー・スミスが短編映画『セントルイス・ブルース』に出演し、その歌声を披露しました。

ポピュラー音楽の動向

洋楽では、ジーン・オースチンの「キャロライナ・ムーン」、フランセス・シェリーの「恋とは何でしょう」、チャールズ・E・ヘンダーソンとルディ・ヴァリーの「ディープ・ナイト」、レオ・リースマンと彼の楽団の「浮気はやめた」などが話題となりました。これらの楽曲は、当時の人々の心を捉え、流行歌として広く親しまれました。

クラシック音楽の革新

クラシック音楽の分野では、アルノルト・シェーンベルクが「ピアノ曲作品33」を発表し、その革新的な作風が注目を集めました。クルト・ヴァイルは「小さな三文音楽」で新たな音楽の可能性を追求し、セルゲイ・プロコフィエフは「ディヴェルティメント」「賭博者」「放蕩息子」といった意欲的な作品を発表しました。また、フランツ・レハールの「微笑みの国」、フレデリック・ディーリアスの「シナーラ」もこの年に発表されています。

日本の音楽シーン

日本の歌謡曲では、佐藤千夜子の「東京行進曲/紅屋の娘」「愛して頂戴」「黒ゆりの花」、井上起久子の「大阪行進曲」、二村定一の「君恋し」「浪花小唄」「となり横丁」、天野喜久代の「黒い眸よ今いづこ」、川崎豊と曽我直子の「蒲田行進曲」「沓掛小唄」、曽我直子の「金のグラス」「明眸禍の唄」、平井英子の「茶目子の一日」、宝塚少女歌劇花組スター連の「モン巴里」などが人気を博しました。宮城道雄は「春の海」を発表し、日本の伝統音楽に新たな風を吹き込みました。また、「明石市歌」「千葉市歌」「広島市歌」といった市歌や、童謡「黒ニャゴ」もこの年に発表されています。

音楽家の誕生と死

1929年には、アンドレ・メサジェ（2月24日没）、レオ・ウッド（8月2日没）、多忠亮（12月3日没）といった音楽家がこの世を去りました。彼らの功績は、後世に語り継がれています。

1929年は、音楽史において多様なジャンルが発展し、新たな才能が開花した重要な年となりました。

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