1941年の日本公開映画

1941年（昭和16年）日本公開映画

この項目では、昭和16年にあたる1941年（1月1日から12月31日まで）に日本国内で商業的に公開された映画作品の一覧を紹介します。激動の世界情勢下にあったこの年、日本の映画館では、日本映画はもちろん、さまざまな国の作品が上映されていました。

公開作品の概要

1941年には年間を通じて多数の映画が公開されました。リストには、作品名とともに製作国が記されており、日本映画を中心に、アメリカ、ドイツ、フランス、イタリア、アルゼンチン、オーストリアなど、幅広い国々の作品が日本に紹介されていたことがわかります。また、満映や朝鮮映画といった、当時の日本の統治下にあった地域で製作された映画も公開されていました。

月ごとの公開状況

各月にわたり、国内外の新作が続々と封切られました。

1月: 年明け早々、『想ひ出の円舞曲』（ドイツ）、『銀の靴』（アメリカ）、『シー・ホーク』（アメリカ）などの外国映画が公開される一方、日本映画では『昨日消えた男』、『兄の花嫁』、『柘榴一角』、そして後に日本映画雑誌協会ベストテン第3位となる『みかへりの塔』などが登場しました。
2月: 日本映画の公開が続きました。9日にはベストテン第4位に選ばれた『芸道一代男』が封切られています。
3月: 『心の青春』（アメリカ）、『大紐育』（アメリカ）といった外国映画に加え、日本映画を代表する傑作が立て続けに公開されました。1日には日本映画雑誌協会ベストテン第1位を獲得した小津安二郎監督の『戸田家の兄妹』が、11日には同じくベストテン第2位の『馬』が公開され、大きな注目を集めました。
4月: 『消え行く灯』（アメリカ）、『砂塵』（アメリカ）、『青春』（ドイツ）などの外国映画が公開されました。
5月: 『勝利の歴史』（ドイツ）、『白鳥の死』（フランス）といったヨーロッパ映画のほか、日本映画では『白鷺』、『海を渡る祭礼』（ベストテン第8位）、『羅生門』（後の黒澤明作品とは異なります）、『阿波の踊子』などが公開されています。
6月: 『明日への戦ひ』（アメリカ）、『邂逅』（アメリカ）、『間諜アゼフ』（オーストリア、ドイツ）など多様な外国映画が上映されました。日本映画では『歌へば天国』、『暁の合唱』、『虞美人草』、そしてベストテン第7位となった『愛の一家』などが公開されました。
7月: 『ジェロニモ』（アメリカ）、『空征かば』（イタリア）、『夜のタンゴ』（ドイツ）など、再び様々な国の映画が公開されました。日本映画では『上海の月』、『花』などが封切られています。
8月: 『青い制服』（アメリカ）、『偉人エーリッヒ博士』（アメリカ）、『世界の涯てに』（ドイツ）などが公開される中、日本映画では『巷に雨の降る如く』、『雪子と夏代』、『北極光』、『男子有情』、『簪』といった多彩な作品が登場しました。
9月: 『黒い瞳の女』（アルゼンチン）、『人間エヂソン』（アメリカ）、『佛蘭西座』（フランス）といった外国映画に加え、日本映画では『世紀は笑ふ』、『秀子の車掌さん』、『大空の遺書』などが公開されました。満映製作の『美しき犠牲』もこの月に公開されています。
10月: 『雨ぞ降る』（アメリカ）、『スミス都へ行く』（アメリカ）、『空の要塞』（アメリカ）などアメリカ映画の公開が続きました。朝鮮映画の『家なき天使』や、日本映画ではベストテン第10位の『指導物語』、『南十字星』などが公開されています。
11月: 『城砦』（アメリカ、イギリス）、『青春乱舞』（フランス）、『舞姫記』（ドイツ）といった外国映画が公開されました。日本映画では『櫻の國』、そしてベストテン第5位に選ばれた『江戸最後の日』などが封切られました。朝鮮軍報道部製作の『君と僕』も公開されています。
12月: 年末にかけて、『西班牙の夜』（ドイツ）、『夜ひらく』（ドイツ）といったドイツ映画が公開されました。日本映画では、『元禄忠臣蔵　前篇』、ベストテン第6位の『次郎物語』、『蘇州の夜』、『男の花道』などが公開され、この年の映画公開を締めくくりました。

日本映画雑誌協会ベストテン

この年公開された日本映画の中から、特に優れた作品として日本映画雑誌協会のベストテンに以下の作品が選ばれています。

1. 戸田家の兄妹
2. 馬
3. みかへりの塔
4. 芸道一代男
5. 江戸最後の日
6. 次郎物語
7. 愛の一家
8. 海を渡る祭礼
9. 舞ひ上る情熱
10. 指導物語

これらの作品は、1941年の日本映画界を代表するものと言えるでしょう。

1941年の映画公開状況は、当時の国際情勢や社会状況を背景に、国内外の様々な作品が日本で上映されていたことを示しています。より詳細な情報については、関連する文献やデータベースを参照してください。

（参考文献：世界映画史研究会『舶来キネマ作品辞典・戦前編』、畑暉男（編）『20世紀アメリカ映画辞典』など。外部リンク：日本映画データベースの1941年公開作品一覧など）

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