1952年大韓民国大統領選挙

1952年大韓民国大統領選挙の概要

1952年8月5日に行われた大韓民国大統領選挙は、第一共和国における大統領を選出する重要な政治的イベントでした。特に、それまでの間接選挙制度から国民による直接選挙への移行は、国政における大きな変革を意味しました。これにより、大統領選挙の透明性が増し、国民の声がより反映されるようになりました。

政治的背景

1952年の選挙は、大統領の任期4年の満了に伴い実施されました。その核心となったのは、前月の7月に可決された憲法改正案です。この改正案では、大統領の直接選挙制と国会の両院制の導入が盛り込まれ、同じ月の7日には公布されました。これにより、国民は初めて自らの手で大統領を選ぶ機会を得たのです。

選挙の結果

投票日は1952年8月5日、投票率はおよそ88.0％に達しました。正大統領選挙では現職の李承晩が再選され、彼の圧倒的な支持を示しました。しかし、副大統領選挙では自由党から出馬した李範奭候補が敗れる結果となり、咸台永候補が当選しました。

当時、李範奭候補は「釜山政治波動」と呼ばれる政治的混乱の中、内務長官としての経歴が注目されていました。彼は、大統領直接選挙制を推進するための改憲に尽力していたため、彼の敗北は意外な結果として受け止められました。実際、李承晩は李範奭の支持基盤であった旧朝鮮民族青年団系の勢力の拡大を阻止するため、警察力を行使して咸台永に当選させる策略を取ったと言われています。

選挙後の展開

選挙後の1952年9月12日、李承晩は族青系の支持勢力を「反党分子」と位置付け、自由党からの排除を決定しました。これにより、李承晩は自らを絶対的に支持する勢力のみで自由党の指導部を強化する道を歩みます。この動きは、韓国の政治史における重要な出来事であり、今後の政治情勢に大きな影響を及ぼすこととなります。

参考文献

• - 韓国史編纂委員会編『朝鮮韓国近現代史事典』日本評論社
• - 森山茂徳著『韓国現代政治』東京大学出版会
• - 尹景徹著『分断後の韓国政治 : 一九四五〜一九八六年』木鐸社

この選挙は、韓国における民主主義の発展に向けた重要な一歩であり、以降の選挙制度や政治情勢の形成に大きく寄与しました。

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