1956年大韓民国大統領選挙

1956年大韓民国大統領選挙の概要

1956年5月15日に実施された大韓民国の大統領選挙は、第一共和国時代における重要な国政選挙でした。この選挙は、韓国の政治における重要な転機を迎え、その結果は当時の国民感情を如実に反映するものでした。

背景

1954年11月、自由党は「四捨五入改憲」と称される憲法改正を施行し、大統領の再任制限を撤廃しました。この改正により、自由党は李承晩を正大統領候補、副大統領に李起鵬を指名しました。しかし、李承晩は当初「3選は民主主義に反する」として出馬を拒否する意向を表明しました。

これに対し自由党は、官公庁を動員して李承晩の出馬を求めるデモを企画。その後、李承晩は「民意に基づいて出馬する」と改めて宣言しました。一方で、民主国民党を中心とした反李承晩勢力は新党「民主党」を結成し、申翼熙を正大統領候補に、張勉を副大統領候補に指名しました。また、進歩主義勢力からも曺奉岩と朴己出が候補として名乗りを上げ、新党の結成が進められました。

選挙戦

民主党は「もう生きられない（政権を）代えてみよう」というスローガンを掲げ、特にソウルなどの大都市で盛大な支持を集めました。この選挙では、30万人以上の聴衆が選挙演説会に参加するなど、民衆の不満が高まりを見せていました。しかし、候補者の一人である申翼熙が選挙運動中に急死したことで、選挙の焦点は副大統領選挙へと移りました。彼の突然の死は、選挙戦の均衡を崩し、李承晩の再選を固める要因となりました。

投票結果

選挙日となった1956年5月15日、投票率は94.4％に達しました。正大統領選挙では、李承晩が自由党の再選を果たしましたが、得票率は50％台に留まり、国民の反発が強いことを示す結果となりました。無効票も185万票以上に達し、特に都市部では李承晩の得票数を上回る票がありました。進歩党の曺奉岩も前回より見事に票を伸ばし、強力な立候補者として知られるようになりました。

副大統領選挙では、民主党の張勉が自由党の李起鵬に僅差で勝利し、副大統領に選出されました。この結果により、正義党と自由党からの大統領と副大統領が異なる政党から選出されるという、政治的なねじれ現象が生じました。これは、自由党に対する国民の反発の強さを物語っています。

結論

1956年の大統領選挙は、李承晩の再選を通じて当時の韓国社会の不満や、政治的変化の要求を浮き彫りにする出来事となりました。この選挙から見えるのは、国民の意識の変化とそれを受け入れる政治体制の難しさです。今後の韓国の政治景観に多大な影響を与えることとなるこの選挙は、国民の声がいかに強いものであったかを示す大きな転機となったのです。

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