1958年の映画

1958年の映画動向

1958年は、日本及び世界の映画シーンにおいて、さまざまな出来事や変化が交錯した年でした。特に、映画賞の受賞や新しい作品の公開、業界全体の動きが目立ちました。

世界の映画界

最初の出来事として、1月22日から31日まで開催された第2回ニューヨーク日本映画見本市が挙げられます。このイベントは、日本映画を紹介する重要な機会となり、海外における認知度を高めました。また、フランスのルイ・マル監督が『死刑台のエレベーター』でデビューしたのも、この年の注目すべき点です。

3月には、第15回ゴールデングローブ賞で、日本の五所平之助監督が『黄色いからす』で外国語映画賞を受賞し、国際的な評価を高めました。その後、3月26日、米国の第30回アカデミー賞では、ナンシー梅木が『サヨナラ』で助演女優賞を受賞しました。この受賞は、東洋人俳優として初めての栄誉でした。

4月、ハリウッドでの問題が浮上し、女優ラナ・ターナーの娘による事件がメディアに取り上げられ、業界の腐敗が議論されました。しかし、同じ月にはブラジル・サンパウロに東宝南米有限会社が設立され、新しい市場への進出も果たされました。

5月から7月にかけて、多くの映画祭において日本の作品が高い評価を受けました。特に第8回ベルリン国際映画祭では『純愛物語』が監督賞を獲得し、さらにチェコスロバキアのカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭では、家城巳代治監督の『異母兄弟』がグランプリを獲得しました。

9月には、アイルランドのコーク国際映画祭で『楢山節考』に主演した高橋貞二が主演男優賞を受賞し、日本映画の存在感が際立ちました。

日本の映画界

日本では、1月に『任侠東海道』と『娘十八御意見無用』が公開され、大ヒットを記録しました。また、1月28日には、今井正監督が第31回キネマ旬報日本映画監督賞を受賞し、彼の作品『米』や『純愛物語』がベストテンの1位と2位を占めることとなりました。

同年、映画産業全体が変革を迎えました。2月1日に発生した東京宝塚劇場などの火災では、残念ながら3名が犠牲となり、追悼行事が行われました。この年の日本映画は、技術革新や配信の変化にも影響を受けました。

4月には、石原慎太郎が『若い獣』で監督としての初挑戦をし、注目を集めました。このように多くの監督が新たな挑戦をし、映画製作における自由な表現が求められるようになってきました。

7月には東映が公開した『駅前旅館』が大ヒットし、このシリーズは全24作品に及ぶ人気となりました。このように、日本映画が再び盛り上がりを見せた年でもありました。

映画人口と興行収入

1958年の日本では、年間の映画観覧回数は1人あたり12.3回とされ、入場者数は11億2745万人に達しました。これは映画興行における最高記録であり、この年の興行収入は723億4600万円となりました。しかし、これ以降、映画人口は減少していくことになります。入場料金は、東京の邦画封切館で160円、統計局のデータによると109円ということでした。

総括

1958年の映画業界は、国内外でさまざまな変化と進展が見られました。受賞により日本映画の地位が向上した一方で、業界全体の課題や事件がその影を落としました。この一年は、映画が新たな方向へ進むための基盤を築いたと言えるでしょう。

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