1967年のル・マン24時間レース

1967年6月10日から11日にかけて、フランスのサルト・サーキットで開催された第35回ル・マン24時間レースは、数々のドラマを生んだ激戦でした。54台のレーシングカーが壮絶な戦いを繰り広げ、最終的に16台が完走を果たしました。

この年のレースでは、イギリス勢の参加が非常に少なかったことが特徴的です。ロータス・ヨーロッパとオースチン・ヒーレー・スプライト各1台のみという寂しい状況でした。対照的にアメリカ勢は躍進し、特にフォードの活躍が目覚ましく、歴史的偉業を達成することになります。

優勝を手にしたのは、ダン・ガーニーとA.J.フォイトのペアがドライブするフォードGTマークIVでした。彼らは前年を大きく上回る5,232.900kmを走り抜き、平均速度218.038km/hという驚異的な速さで栄冠を勝ち取りました。これはフォードチームにとって、2年連続の優勝という快挙となりました。

ガーニーの優勝の喜びは、表彰式で独特の表現として現れました。彼はシャンパンボトルを観客に向かって放つという、今ではおなじみの「シャンパンファイト」の起源ともなった行動に出たのです。Chassy Mediaのドキュメンタリー映画『The 24 Hour War』でも紹介されているこの行為は、後のレース優勝者たちの間で広く行われる伝統となりました。

一方、このレースはスクーデリア・フェラーリにとって、ル・マン24時間レースからの撤退を意味する、転換点となる年でもありました。長年に渡りしのぎを削ってきた伝統のチームの撤退は、レース史に大きな変化をもたらしました。

1967年のル・マン24時間レースは、アメリカ人ドライバーによる初優勝、フォードの圧勝、シャンパンファイトの誕生、そしてフェラーリの撤退と、レース結果以上に多くの歴史的出来事が記録された、記憶に残る一戦となりました。このレースの記録は、数々の書籍に詳細に記録されており、その激しさ、ドラマ性を改めて知ることができます。例えば、『ルマン 伝統と日本チームの戦い』（グランプリ出版）、『ル・マンの英国車』（ネコ・パブリッシング）、『ルマン 偉大なる草レースの挑戦者たち』（集英社）、『フォードｖｓフェラーリ　伝説のル・マン』（A.J.ベイル著）などが挙げられます。これらの文献は、レースの詳細な分析や背景、そして参加者たちの熱い想いを伝えてくれます。

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