1967年ニコシア・ブリタニア墜落事故

1967年ニコシア・ブリタニア墜落事故

1967年4月20日に発生したこの航空事故は、キプロス航空史上最悪の惨事として記録されています。グローブ・エアのブリストル ブリタニア313型機が、チャトラパティ・シヴァージー国際空港からカイロ国際空港へ向かう途中、ニコシア空港への着陸を試みている最中に墜落しました。この事故により、乗員乗客130名のうち126名が命を落としました。

事故の概要

事故機は、ドンムアン空港を出発し、バンダラナイケ国際空港とチャトラパティ・シヴァージー国際空港を経由して、カイロ国際空港を目指していました。最終目的地はユーロエアポート・バーゼル＝ミュールーズ空港でした。チャトラパティ・シヴァージー国際空港を離陸した時点では、乗員10名と乗客120名が搭乗していました。

当初、カイロ国際空港に着陸する予定でしたが、悪天候のため空港が閉鎖されていたため、代替空港としてベイルートのラフィク・ハリリ国際空港に向かう計画でした。しかし、事故機はなぜかキプロスのニコシアへ向かいました。ニコシアも当時雷雨に見舞われており、着陸は困難を極めました。最初の着陸試行はグライドパスよりも高度が高すぎたため失敗し、2回目のアプローチを試みました。この2回目のアプローチは左旋回を伴う予定でしたが、午前1時13分、低高度での旋回中に丘に激突し、尾翼部分を除いて機体はほぼ完全に破壊されました。

事故機の詳細

事故機のブリストル ブリタニア313（HB-ITB）は、1957年に製造された機体で、総飛行時間は20,632時間、総離着陸回数は6,780回でした。この機体は、1950年代から1960年代にかけて活躍したイギリス製の旅客機で、その信頼性と長距離飛行能力で知られていました。

乗員について

コックピットには、機長、副操縦士、航空機関士、交代機長、そして交代航空機関士の5名が搭乗していました。

機長: 43歳の男性で、総飛行時間は8,285時間、うちブリストル ブリタニアでの飛行時間は1,493時間でした。
副操縦士: 24歳の男性で、総飛行時間は1,860時間以上、うちブリストル ブリタニアでの飛行時間は785時間でした。
* 交代機長: 40歳の男性で、総飛行時間は9,680時間以上、うちブリストル ブリタニアでの飛行時間は49時間でした。

生存者と犠牲者

この事故では、乗員乗客130名のうち、客室乗務員1名と乗客3名（スイス人1名、ドイツ人2名）の合計4名が奇跡的に生き残りました。しかし、残りの126名は全員死亡するという痛ましい結果となりました。

事故原因

キプロスの事故調査官の調査では、機体に故障は見当たらず、また空港の管制官との通信も正常であったと報告されました。しかし、パイロットが飛行計画を変更してニコシアへ向かった理由は不明のままでした。事故後の調査で、パイロットが勤務時間の上限を大幅に超過していたことが判明しました。また、副操縦士が所持していた民間航空機の操縦免許が無効であり、実際のブリストル ブリタニアでの飛行時間が50時間未満であったことも明らかになりました。これらの事実から、パイロットの過労と副操縦士の資格問題が事故の要因の一つとして考えられます。

事故の影響

事故から半年後の1967年10月19日、事故機を運航していたグローブ・エアは破産を宣告し、事業を停止しました。その直後、経営陣に対して破産訴訟が起こされました。この事故は、航空業界における安全管理の重要性を改めて浮き彫りにし、過労運転や資格のないパイロットの搭乗がもたらす危険性を示唆しました。

まとめ

1967年のニコシア・ブリタニア墜落事故は、数多くの犠牲者を出し、キプロス史上最悪の航空事故として深く記憶されています。この事故は、航空安全管理体制、パイロットの勤務時間管理、そして資格保持の重要性を再認識させる教訓となりました。

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