1968年のF1世界選手権

1968年のF1世界選手権

1968年のF1世界選手権は、FIAフォーミュラ1の第19回大会であり、1月1日に南アフリカで始まり、11月3日にメキシコでの最終戦まで、全12戦が行われました。このシーズンは特にドラマティックな出来事が多く、ドライバーやチームにとって記憶に残る1年となりました。

シーズンの概略

前シーズンに2位だったロータスは、シーズンの終盤に向けて実力を取り戻し、ロータス・49とDFVエンジンによって他チームに対する優位性を築いていました。しかし、1968年の始まりとともに、ロータスはDFVエンジンの排他権を失い、競争はより激化しました。新たにマクラーレンもDFVを搭載した新型車を投入し、ケン・ティレルは自ら設立したチームでフランスのマトラとともに開発した車両を持ち込み、元BRMのジャッキー・スチュワートをドライバーとして迎え入れました。

シーズン最初の南アフリカグランプリでは、ジム・クラークとグラハム・ヒルが1-2フィニッシュを飾り、その優越性を見せつけましたが、これはクラークにとって最後の勝利となる悲劇的な出来事でした。1968年4月、彼はホッケンハイムのF2ノンタイトル戦で事故により命を落としました。クラークの死はF1界に大きな衝撃を与えました。

技術革新と影響

このシーズンには、2つの重要な技術革新がありました。まず無制限のスポンサーシップの導入です。FIAは、自動車関連企業からのサポート撤退を受けて、全面的にスポンサーシップを許可すると決定しました。続いて現れたロータスの車両は赤、金、白のゴールドリーフ・カラーで飾られました。

次に、ウィングの導入が挙げられます。これにより、車両の走行性能が大きく向上しました。コーリン・チャップマンは、モナコでのグラハム・ヒルのロータス・49Bにフロントウィングを装着しました。ブラバムやフェラーリも全幅のウィングを採用するなど、多くのチームがこの技術を取り入れることとなります。シーズンの終わりには、ほとんどのチームが洗練されたウィングを装備するようになりました。

タイトル争い

ジム・クラークの死にもかかわらず、ロータスはシーズンを通じてグラハム・ヒルと共に両方のタイトルを獲得しました。しかし、ジャッキー・スチュワートとマトラ・MS10の存在は彼らにとっての強敵となりました。ニュルブルクリンクでのドイツグランプリでは、スチュワートが雨天の中、2位に大差をつけて勝利するなど、その実力を証明しました。特にMS10の特徴である航空機スタイルの燃料タンクは、車両の軽量化に成功し、チームにキーとなるアドバンテージを提供しましたが、後にこの技術は危険と見なされ、1970年シーズンからは禁止されることになります。

マクラーレンの成功

マクラーレンは、デニス・ハルムとブルース・マクラーレンのもとでコスワースを用いたM7を準備しました。ブランズ・ハッチでのノンタイトル戦では勝利を収め、ベルギーグランプリでも初の選手権勝利を果たしました。ブルースは自身のチームで参戦し優勝した3番目のドライバーとなり、成功を収めました。

全体を通して、1968年のF1世界選手権は、競争の激化や技術革新、そして悲劇を伴った記憶に残るシーズンとなり、フォーミュラ1の歴史の一部として語り継がれることになるでしょう。

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