1971年スペイングランプリ

1971年スペイングランプリ：スチュワートの勝利とスリックタイヤの幕開け

1971年4月18日、スペイン・バルセロナのモンジュイック・サーキット。F1世界選手権第2戦、1971年スペイングランプリが75周のレースとして開催されました。このレースは、F1の歴史に新たな1ページを刻むことになります。なぜなら、このスペインGPが、F1で初めてスリックタイヤが使用されたレースだったからです。

レースまでの道のり：非選手権レースとスリックタイヤの登場

前戦南アフリカGPから6週間の間に、3戦の非選手権レースが開催されました。中でも注目すべきは、ファイアストンが開発したスリックタイヤです。これは、USACチャンピオンシップでの経験に基づいたもので、3月21日のレース・オブ・チャンピオンズでクレイ・レガツォーニのフェラーリ312B2に初めて装着されました。レガツォーニはこのタイヤを履いて優勝。その性能の高さが世界に示されました。続くクエスターGPでは、フェラーリのマリオ・アンドレッティが優勝しましたが、ティレルのジャッキー・スチュワートとの接戦は、彼らが今後のライバル関係にあることを示唆するものでした。

各チームの状況とエントリーリスト

このスペインGPでは、いくつかのチームが新しいマシンやドライバーを投入しました。フェラーリは新車312B2の熟成不足を鑑み、312Bで3台体制を敷き、新たにペーター・シェッティをチーム監督に迎えました。ティレルはスチュワートのために軽量化された新型マシン003を投入。ブラバムはグラハム・ヒルにノーズが分割されたBT34、ティム・シェンケンにはBT33を用意しました。BRMはジョー・シフェールにも新車P160を与え、ペドロ・ロドリゲスはイタリアGPから使用していた改良型エンジンを搭載しました。サーティースはロルフ・シュトメレンにTS9を提供。ウィリアムズはマーチ711で参戦しました。そして、ファイアストンはF1初となるスリックタイヤ「B25」を供給開始しました。

予選：嵐と12気筒勢の優位性

予選日は嵐に見舞われ、金曜日のタイムが最終順位となりました。ポールポジションはジャッキー・イクス（フェラーリ）が獲得。僅か0.1秒差でチームメイトのレガツォーニが2番手、クリス・エイモン（マトラ）が3番手と、フロントローはフェラーリとマトラが占めました。スチュワートは4番手、ロドリゲスは5番手と、上位陣には12気筒エンジン搭載車が並んだことから、非選手権レースでの強さが予選でも証明されました。

決勝：スチュワートの猛追とティレル初の勝利

スタートでイクスがトップに立ちますが、スチュワートは猛追。6周目にイクスを抜き去ると、リードを広げていきます。エイモンがレガツォーニを抜き3位に浮上するなど、順位の変動もありましたが、スチュワートは安定した走りでトップを維持しました。レガツォーニは燃料ポンプの故障でリタイア、ロドリゲス、アンドレッティ（リタイア）、ハルムが順位を上げていきます。最終的にスチュワートは、イクスの猛追を振り切り、3.4秒差で優勝。ティレルにとって初のF1勝利となりました。イクスはファステストラップを記録するなど健闘しましたが、スチュワートの勝利を阻むことはできませんでした。このレースで、スチュワートのドライビングスキル、そしてティレルのマシンの性能の高さが証明されました。

まとめ

1971年スペイングランプリは、スチュワートの勝利、F1初のスリックタイヤ使用、そして各チームの技術開発競争が凝縮された、記憶に残るレースでした。このレースは、F1の歴史における重要な転換点の一つとして、今も語り継がれています。

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