1976年のラジオ (日本)

1976年の日本のラジオ

1976年は、日本のラジオ放送において技術面での進化と、番組ラインナップの拡充が顕著に見られた一年です。多くの新しい番組が誕生し、聴取者に多様な選択肢を提供するとともに、一部の放送局では放送技術の革新が進みました。

技術動向

この年、特に注目すべき技術的な進展として、NHK-FMのローカル送出におけるステレオ化整備が挙げられます。関東甲信越地方の全局（長野、新潟、甲府、横浜、浦和、千葉、水戸、前橋、宇都宮）に加え、仙台、静岡、富山、福井、岡山、広島、山口、徳島、高松、北九州、長崎、佐賀、大分、宮崎、鹿児島といった広範な地域のNHK-FM局でステレオ放送の設備が整えられました。この整備完了に伴い、対象となった各局で制作・放送されるFMローカル番組が次々とステレオ化され、より臨場感のある音声で番組を楽しめるようになりました。これは、リスナーの聴取体験を向上させる重要な一歩となりました。

主な番組の動き

1976年には、年間を通して数多くの新番組が放送を開始しました。特に春と秋の改編期には、各局で様々なジャンルの番組が登場し、ラジオの活気を高めました。

開始された主な番組

年の初め、1月にはニッポン放送で「山下達郎のオールナイトニッポン」がスタート。深夜放送の新たな顔として注目を集めました。3月には同じくニッポン放送で「ひやま信彦の早起きもいちど劇場」が開始されています。

4月はラジオ界の大きな改編期であり、多岐にわたる新番組が登場しました。NHKでは、ラジオ第1で「ニュースリポート」「歌のアラカルト」「親子談話室」「歴史と人間」「邦楽ジョッキー」「夜のサスペンス」「思い出の芸と人」「仲間の音楽会」「私の歩んだ道」「文化講演会」、そして開始日不明の「文芸選評」が始まりました。ラジオ第2では「NHK文化シリーズ」、NHK-FMでは「夕べの広場」「ヤングジョッキー」が開始されています。

民放各局でも新番組が続々と登場しました。

STVラジオ: 「千春のひとりうた」（4月4日）
山形放送: 「農業一口メモ」（開始日不明）
東京放送: 「おはよう利根川裕です」「夜はともだち」（4月5日）、開始日不明の「5スイート・キャッツ」
文化放送: 「決定!全日本歌謡選抜」（4月4日）、「片山竜二のおはよう文化放送です」「おはよう細田勝です」「お元気ですか高島忠夫です」（4月5日）、「片山竜二のおはよう土曜日 文化放送です」「ワイワイワイド 善行け土曜日」（4月10日）
ニッポン放送: 開始日不明の「太田裕美のくるくるジョッキー」「裕美と明のヒットヒットで大熱戦」「竹村健一のずばりジャーナル」
山梨放送: 「NASAヤングアテンション」（4月3日）
北陸放送: 開始日不明の「天下御免の日曜日!」
毎日放送: 「ペンギンタイム〜おはようサンスタ一〜」（4月5日）
大阪放送: 「早起きいちばん 鏡宏一です」「OBC目覚しワイド 朝はどこからプリンから」「わっしょいスペシャル・ハイ本番!○曜バチョン」（4月5日）、開始日不明の「スネークマンショー」
ラジオ関西: 開始日不明の「神戸発日曜午後一時」
エフエム東京: 「音の本棚」（4月1日）、「ソニー・ビッグ・スペシャル」「ニュー·ミュージック·ナウ」（4月10日）
日本短波放送: 開始日不明の「BCLスクランブル」

4月以降も新番組の登場は続きました。6月には文化放送で「GO!GO!キャンディーズ」（6月20日）、エフエム東京で「グンゼ・ニューミュージック共和国」（6月10日）がスタート。8月にはニッポン放送で「いまに哲夫の歌謡パレードニッポン」（8月30日）が始まりました。

秋の改編期となる9月には、山陽放送で「ワイドおかやま、あなたのラジオです」（9月1日）が開始。10月にはさらに多くの新番組が登場しています。

東京放送: 「山田二郎ワイドで勝負!90分」（10月4日）
文化放送: 「ミッドナイト ライブスペシャル」（10月7日）
ニッポン放送: 「夜のドラマハウス」（10月4日）、「タモリのオールナイトニッポン」（10月7日）、「ミュージックスカイホリデー」（10月10日）
毎日放送: 「ほんまか 電話リクエスト」（10月4日）
山陽放送: 「歌謡リクエストセブン」（10月4日）
九州朝日放送: 「KBCナイトタウン」（10月4日）
* エフエム東京: 「FMフレッシュモーニング」（10月1日）

11月には、ニッポン放送で開始日不明の「山口百恵と大石悟郎のフォーエバー・フォーク」、エフエム東京で「ワールド・オブ・エレガンス」（11月1日）、東海ラジオ放送で「ナゴヤフォークタウン」（11月7日）、九州朝日放送で開始日不明の「さだまさしの引き出しのすみっこ」が加わりました。このほか、開始日不明ながらNHK-FMで「夕べのひととき」、ニッポン放送で「ハロー」、エフエム東京で「新日鐵アワー・音楽の森」がこの年に始まっています。

これらの番組開始は、タレントやお笑い芸人、ミュージシャンなどがラジオで活躍する場を広げ、バラエティ豊かなラジオ文化の土壌を培いました。

終了した主な番組

一方、番組の終了もありました。NHKラジオ第2では、「市民大学講座（ラジオ版）」が1976年4月4日をもって放送を終えています。

特筆すべき番組・出来事

番組の節目として、この年には多くの番組が周年や記念回を迎えたほか、いくつかの開局周年もありました。

特別な番組としては、9月1日から2日にかけてMBSラジオで放送された「人間バンザイ ふれあいの1日」が実施されました。

1976年は、技術革新による聴取環境の向上と、多岐にわたる新番組の誕生により、日本のラジオがさらに発展を遂げた年と言えるでしょう。

参考文献

この記述は、『NHK年鑑'76』および『NHK年鑑'77』（日本放送協会総合放送文化研究所 放送史編修室 編、日本放送出版協会刊）を参照しています。

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