1976-1977シーズンのNBA

1976-1977 NBAシーズン:変革と新たなスターの誕生



1976-1977シーズンは、NBAにとって大きな転換期となるシーズンでした。長年のライバルであったABA(アメリカン・バスケットボール・アソシエーション)との合併、ポートランド・トレイルブレイザーズの劇的な初優勝、そしてリーグ全体の勢力図の変化など、様々な出来事が重なり、NBAの歴史に深く刻まれるシーズンとなりました。

ABA吸収合併:NBAの拡大と新たな戦力の流入



1967年に誕生したABAは、その革新的なプレースタイルと個性的な選手たちでNBAに刺激を与えましたが、経営難から1976年NBAに吸収合併されることとなりました。ABAの解散に伴い、インディアナ・ペイサーズサンアントニオ・スパーズデンバー・ナゲッツニューヨーク・ネッツの4チームがNBAに加盟し、リーグは22チームへと拡大しました。

ABAから加入した選手たちは、NBAに新たな風を吹き込みました。ジュリアス・アービング、ジョージ・ガービン、デビッド・トンプソンなど、ABAで実績を残したスター選手たちがNBAの舞台で活躍し、リーグのレベルを引き上げました。特に、アービングはフィラデルフィア・76ersのエースとしてチームを牽引し、ブレイザーズとのNBAファイナルで激闘を繰り広げました。

ドラフト:未来のスターたちの登場



1976年NBAドラフトでは、ジョン・ルーカスアトランタ・ホークスから全体1位指名を受けました。その他にも、エイドリアン・ダントリーロバート・パリッシュアレックス・イングリッシュデニス・ジョンソンといった、後にNBAを代表する選手たちが指名を受け、プロの世界へと足を踏み入れました。

ABA解散により消滅したケンタッキー・カーネルズやセントルイス・スピリッツの選手たちもドラフト対象となり、モーゼス・マローンやアーティス・ギルモアといった名選手たちがNBAチームへと移籍しました。

シーズン概要:戦国時代の幕開け



ABAとの合併後、初のシーズンとなった1976-1977シーズンは、突出した強豪チームが存在しない、まさに戦国時代のような様相を呈しました。50勝以上を挙げたチームはわずか3チーム、40勝以上を挙げたチームも12チームにとどまり、リーグ全体の実力が拮抗していました。

ロサンゼルス・レイカーズはリーグ最高の勝率を記録し、カリーム・アブドゥル=ジャバーが2年連続5回目のMVPを獲得しましたが、チームはプレーオフでブレイザーズに敗れました。一方、バッファロー・ブレーブスは、エースのボブ・マカドゥーをシーズン中に放出した影響で低迷し、以後15年間プレーオフから遠ざかることとなります。

元ABAチームの明暗



ABAから加入したチームの成績は、明暗が分かれました。ジュリアス・アービングを獲得した76ersは地区優勝を果たし、モーゼス・マローンが加入したヒューストン・ロケッツも初の地区優勝を飾りました。また、モーリス・ルーカスを獲得したポートランド・トレイルブレイザーズは、創設7年目にして初のプレーオフ進出を果たしました。

一方、ABA時代に強豪として名を馳せたインディアナ・ペイサーズはプレーオフ進出を逃し、ニューヨーク・ネッツはリーグ最下位に沈むなど、苦戦を強いられました。

プレーオフとファイナル:ブレイザーズの奇跡



プレーオフは、チーム数増加に伴い出場枠が12チームに拡大され、各カンファレンスの下位4チームによる1回戦が導入されました。

ファイナルは、イースタン・カンファレンスを制したフィラデルフィア・76ersと、ウエスタン・カンファレンスを制したポートランド・トレイルブレイザーズの対戦となりました。76ersはジュリアス・アービングを中心に、ブレイザーズはビル・ウォルトンを中心に、両チームともスター選手を擁し、実力伯仲の戦いが予想されました。

ファイナルは、76ersが2連勝でスタートしましたが、ブレイザーズがその後4連勝し、4勝2敗で初のNBAチャンピオンに輝きました。ファイナルMVPには、ウォルトンが選ばれました。

ブレイザーマニア:ポートランドの熱狂



ブレイザーズの躍進は、地元ポートランドに空前のバスケットボールブームを巻き起こしました。「ブレイザーマニア」と呼ばれる熱狂的なファンは、連日アリーナを埋め尽くし、チームを熱狂的に応援しました。

ブレイザーズは、このシーズン以降も強豪チームとしてNBAを牽引し、21世紀まで続く27年連続プレーオフ進出という記録を打ち立てましたが、優勝はこの1977年のみとなっています。

1976-1977シーズンは、ABAとの合併、ブレイザーズの初優勝、新たなスター選手の誕生など、NBAの歴史において重要な転換期となったシーズンでした。このシーズンを境に、NBAは更なる発展を遂げ、世界的な人気スポーツへと成長していくこととなります。

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