1979年北海道知事選挙

1979年北海道知事選挙

1979年4月8日に執行された北海道知事選挙は、当時の知事であった堂垣内尚弘氏の4年間の任期満了に伴い実施されたものです。この選挙は、日本全体で一斉に行われた第9回統一地方選挙の前半戦投票日に行われました。北海道知事選挙は、1947年の第1回選挙以来、一貫して統一地方選挙の日程に合わせて実施されています。

概要

本道は伝統的に日本社会党（当時の有力な革新政党）などが強く、知事選挙においては長年にわたり保守勢力と革新勢力による事実上の一騎討ちの構図が続いてきました。今回の1979年の選挙も、前回1975年の選挙と同様に、三期目の当選を目指す現職の堂垣内尚弘氏と、革新統一候補として擁立された前旭川市長である五十嵐広三氏の二人による争いが中心となりました。

堂垣内候補は自由民主党、民社党、新自由クラブといった保守・中道政党からの推薦を受け、これまでの2期8年間の知事としての実績を強調し、安定した保守道政の継続を訴えました。一方、五十嵐候補は日本社会党、日本共産党、社会民主連合、革新自由連合からの推薦に加え、公明党の支持を得て、革新勢力の結集を図りました。五十嵐候補は、現行の堂垣内道政を「産業・経済の停滞に対する具体的な打開策を示せていない」と批判し、道民と共に現状を変えようとする情熱が不足していると訴えました。前回の選挙後4年間にわたる地道な活動と革新共闘体制を基盤に、革新道政の奪還を目指しました。このように、両候補がそれぞれ幅広い政党の推薦や支持を得たことで、選挙戦はまさに保革を二分する総力戦の様相を呈しました。

なお、この選挙に関連して、立候補前の五十嵐氏を中傷する記事を掲載した雑誌「北方ジャーナル」に対し、印刷・頒布等の禁止を求める仮処分が札幌地方裁判所で認められた一連の出来事は、「北方ジャーナル事件」として知られています。

基礎データ

選挙事由: 知事の任期満了
告示: 1979年3月14日（立候補届出締切は翌15日）
投票日: 1979年4月8日
候補者数: 3名（※事実上の一騎討ちであったものの、他に候補者が存在しました）

選挙結果と分析

選挙の結果、現職の堂垣内尚弘氏が五十嵐広三氏に対して約42万票という大差をつけて三選を果たしました。投票率は82.41%で、これは当日有権者数3,739,528名に対し、投票者数3,081,652名という数字でした。投票率は前回の選挙と比較して1.87%の減少となりました。

三選を果たした堂垣内候補は、革新勢力が強いとされてきた都市部を含め、道内全域で前回選挙時を上回る支持を獲得しました。対照的に、敗れた五十嵐候補の得票は前回選挙の票数を下回り、自身の地元である旭川市でも堂垣内候補に約500票差で逆転されるなど、厳しい結果となりました。

堂垣内候補勝利の要因としては、いくつかの点が指摘されています。

当時の経済状況や社会情勢に対する先行きの不透明感が広がる中、有権者が大きな変化よりも現状維持を選択した傾向が強かったこと。
過去4年間に釧路市や旭川市などの主要都市における首長選挙で、革新市政から保守市政へと転換が進み、道内の保守勢力の基盤が強化されていたこと。
堂垣内氏の2期8年間の道政運営において、道民が不満を抱くような大きな失策が見当たらなかったこと。

一方、五十嵐候補が敗北した背景には、主に革新勢力側の連携に関する問題が挙げられています。

札幌市長選挙における革新候補の擁立作業が遅れたことで、知事選挙との連携体制構築が遅れてしまったこと。
革新共闘の中核をなすはずであった日本社会党と日本共産党間の連携が円滑に進まなかったこと。
公明党が知事選挙では五十嵐候補を支援したにもかかわらず、同時期に行われた札幌市長選挙では保守系の候補者を支持するという方針をとったため、革新勢力全体の総力を結集することが難しかったこと。

この選挙結果は、当時の北海道における保守優位の傾向を一層明確にするものとなりました。

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