1985年の全日本F3選手権

1985年の全日本F3選手権

1985年の全日本F3選手権は、3月9日から10日に鈴鹿サーキットで開幕し、同年11月1日から2日に同じく鈴鹿サーキットにて閉幕しました。全7戦からなるこのシーズンでは、佐藤浩二が見事シリーズチャンピオンを獲得しました。

シーズンの概要

前年に導入されたウイングカー禁止の影響で、フラットボトム規定が適用された結果、旧型車のエントリーが増加し、参戦台数が前年から増えていきました。1983年にはわずか10台前後にまで減少した危機から脱したのです。また、同じくこの年にはヨーロッパ各国でフラットボトム規定が採用され、各シャシーコンストラクターも新たな設計を準備していました。

特にラルトは純フラットボトム設計の新車RT30を開発し、TeamルマンやLe Garage COXが全日本F3に投入。シーズン開始早々、佐藤浩二はこのマシンで連続してポールポジションを獲得し、その性能を証明しました。

前年のチャンピオンである兵頭秀二もタイトル争いに名乗りを上げ、彼のマシンはハヤシ・330にトヨタエンジンを搭載。日産F3エンジンを扱う鈴木亜久里もNISMOのワークス体制で開幕戦に臨み、順調なスタートを切りました。特に鈴木は「そろそろタイトルを狙いたい」と意気込みを語っていました。

その中で、ルーキーの片山右京もFJ1600筑波シリーズからステップアップし、日産系のハセミモータースポーツから支援を受け、ハヤシ製シャシーに日産FJエンジンを搭載したマシンでデビューを果たしました。

技術的な進歩

さらに注目されたのは、全日本F3に参戦した日本製の新しいシャシーです。元童夢-零のボディ開発スタッフである安藤元晴が設立した「ファーストモールディング」が、国産初のオールカーボンファイバー製F3シャシー「コラージュ III」を開発し、鈴鹿の第3戦から参加。第5戦では6位入賞を果たす実力を見せました。

参戦エントラントたちは搭載エンジンの選択で激しい競争が繰り広げられました。開幕時にはトヨタエンジンが主流でしたが、シーズン中には新型3S-G型エンジンが導入され、チャンピオン争いはフォルクスワーゲン・GXエンジンの佐藤、トヨタエンジンの兵頭、日産エンジンの鈴木亜久里の間で熾烈なものとなりました。

シーズンの終わりに近づく中、佐藤86ポイント、鈴木77ポイント、兵頭70ポイントへと接戦となり、ドラマチックな展開が続きました。最終戦で佐藤は独走し、連勝で締めくくり、フォルクスワーゲンエンジンでの初のチャンピオンシップを勝ち取ったのです。それまでの全日本F3の歴史ではトヨタエンジンが王座を獲得していましたので、これは記録的な出来事の一つです。

鈴木亜久里は最終戦での極限の状況の中、6位でフィニッシュし、ポイントを追加できませんでした。これにより彼は2位となり、初のチャンピオン獲得を逃しましたが、その後、全日本F2のシートを獲得し新たなステージへと進むことになります。

まとめ

最終戦ではノバ・エンジニアリングの森本晃生が全日本F3にレイナード製シャシーを初めて参戦させ、翌年以降のラルト対レイナードの競争の幕開けとなりました。このシーズンは技術革新と激しい競争が織りなす、非常に印象的なものでした。

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