1993年のル・マン24時間レース

1993年のル・マン24時間レース

1993年6月19日から20日にかけて、フランスのサルト・サーキットで開催されたル・マン24時間レースは、61回目の大会となりました。この年のレースは、スポーツカーレースのトレンドの変化を鳥瞰する上で極めて重要なイベントでありました。

概要

この年は、3,500cc自然吸気（NA）エンジンを搭載したスポーツカーがメインのレースで、主な競技カテゴリーはSWC（スポーツカー世界選手権）でした。1991年シーズンの終焉後、存続が危ぶまれていたこのカテゴリーは、プジョー及びトヨタの協力により成立に至りましたが、参戦台数は減少し、観客も減少。この状況を受けて、ル・マンのレースは新たな技術レギュレーションの見直しを行い、燃料使用による制限を撤廃し、吸気リストリクターによる性能制約に移行しました。

競技カテゴリー

C1

1991-92年のSWCにおいて主役の座を占めたC1カテゴリーでは、プジョーとトヨタの直接対決が注目されました。プジョーは、前年のプジョー・905を改良したモデルを3台持ち込みました。特にワークスチームであるプジョー・タルボ・スポーツは、監督のジャン・トッドがフェラーリのフォーミュラ1チームに移籍することが決定しており、チーム解散が噂されました。一方、トヨタはTS010のタイヤをグッドイヤーからミシュランに切り替え、戦闘力を高めてきました。

C2およびLMP

C2のカテゴリーには、トヨタ勢の93C-Vやプライベートチームからポルシェ・962Cがエントリーしました。また、今回は新たに設けられたLMP（ル・マン・プロトタイプ）部門もあり、これは3リッター以下のエンジンを搭載したコンストラクター製のレース専用車でした。しかし、エントリーは少なく、将来が不透明な状況でした。

GTクラス

GTカーのクラスには合計30台が参加し、マーケットの再活性化を期待されました。経験豊富なトム・ウォーキンショー・レーシングが率いるジャガーは、XJ220Cで戦いました。ポルシェも911ターボS LM-GTを持ち込み、優秀なドライバーたちが参戦しました。中にはアマチュアのほぼノーマルの車両も見られました。

予選と決勝

予選では、プジョーの905の2号車が前年より3秒遅いタイムを記録し、ポールポジションを獲得しました。しかし、トヨタのTS010は、タイム短縮に積極的ではなく、結局2位に終わりました。

決勝レースでは、トヨタが一時的にリードを奪いましたが、トランスミッションのトラブルにより順位が下がりました。この問題の影響で、ピエール＝アンリ・ラファネル、ケニー・アチソン、アンディ・ウォレスのチームはリタイアを余儀なくされ、さらにメインシャフトベアリングの問題も致命的でした。結果として、トヨタは36号車が最高4位に。対照的に、プジョーはジェフ・ブラバムやクリストフ・ブシューらが乗る905の3号車が優勝し、241周以上走行しました。これにより、プジョーは表彰台を独占する結果となりました。

GTクラスでは、ジョン・ニールセン、デビッド・ブラバム、デビッド・クルサードの組がクラス優勝を果たしましたが、クラス優勝は後日、レギュレーション違反が確認され、ポルシェ・911カレラRSRに変更されました。

結論

1993年のル・マン24時間レースは、特にプジョーの圧倒的な強さが際立った年であり、トヨタにとっては厳しい年となりました。この結果、将来の競技環境に影響を与える重要なレースとなりました。

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