1996年のイギリスツーリングカー選手権

1996年 オートトレーダーRACイギリスツーリングカー選手権：アウディの台頭と激戦のシーズン

1996年のイギリスツーリングカー選手権（BTCC）は、39年目を迎えた歴史あるシリーズにおいて、幾多のドラマと技術革新が凝縮された忘れがたいシーズンとなりました。特に、アウディが4輪駆動システムを搭載したA4でシリーズに復帰したことは、大きな話題を呼びました。

アウディの圧倒的な強さ

BMWやアルファロメオの成功を目の当たりにしたアウディは、ヨースト・レーシングとタッグを組み、ワークスチームとして参戦。エースドライバーには、複数のツーリングカー選手権でタイトルを獲得し、1995年のFIAツーリングカーワールドカップ王者であるフランク・ビエラを起用しました。アウディA4の4輪駆動システムは、その圧倒的な性能で他の追随を許さず、早期から最強候補に躍り出ました。この圧倒的な強さは、メーカー間の議論を巻き起こし、アウディには重量ハンデが課せられる事態に発展しましたが、その効果は限定的なものでした。ビエラはシーズンを通して圧倒的な強さを見せつけ、最終ラウンドを待たずしてタイトルを獲得しました。

熾烈な争いを繰り広げたライバルたち

シーズン前は、ルノーのアラン・メニュがタイトル最有力候補と目されていました。しかし、アウディA4の衝撃的な速さの前に、ルノー・ラグナは完全に後塵を拝する結果に。メニュはビエラに大きく差をつけられて2位に終わりました。

ボルボは850を改良し、リカルド・リデルがタイトル争いに挑みましたが、アウディには届かず。リデルは最終戦の第1レースでメニュを抜き2位に浮上しましたが、第2レースでリタイアし、最終的には3位となりました。チームメイトのケルビン・バートは1勝を挙げましたが、オウルトン・パークでの大クラッシュも経験しました。

ボクスホールは、ジョン・クレランドとジェームス・トンプソンという強力なドライバーラインナップを維持。新型ベクトラを投入しましたが、開発に難航し、キャバリエほどの戦闘力を発揮できませんでした。トンプソンがチーム唯一の勝利をもたらしましたが、クレランドは8位という結果に終わりました。

フォードはレイナードとの協力体制を築き、モンデオを開発。大きな期待が寄せられましたが、シーズンは失望の連続でした。勝利はおろか表彰台にも登れず、マシンの信頼性も低く、ポール・ラディシッチは24レース中13回もリタイアを喫しました。

ホンダはデイビッド・レズリーが3勝を挙げ、健闘しました。BMWは、ヨアヒム・ヴィンケルホックとロベルト・ラヴァーリアを擁し、ヴィンケルホックが複数回優勝を果たすなど、ビエラに最も迫る存在となりました。プジョーは405から406への変更に苦戦し、トヨタはチーム規模を縮小してインディペンデントタイトル獲得に挑みました。日産やチーム・ダイナミクスなども参戦しましたが、上位進出には至りませんでした。

まとめ

1996年BTCCは、アウディA4の圧倒的な強さを象徴するシーズンとなりました。フランク・ビエラがタイトルを獲得し、アラン・メニュ、リカルド・リデルが続きました。各チームの戦略、ドライバーの活躍、マシンの開発状況など、様々な要素が絡み合い、非常に激しく、そして記憶に残るシーズンとなりました。このシーズンは、今後のBTCCの発展に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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